歴史TOP > 第52回 谷町筋の夕陽丘界隈を歩く(大阪府大阪市)
歴史コラム

Presented by 歴史街道推進協議会歴史街道

第52回 谷町筋の夕陽丘界隈を歩く(大阪府大阪市)

大阪市天王寺区夕陽丘町。大阪市内を南北に走る松屋町筋と谷町筋に挟まれ、夕陽丘町を中心とした周辺一帯は、その昔上町台地以外が海だった時代には水平線へ沈む夕日がとても美しかったという。
地名の夕陽丘は歌人藤原家隆の歌「契りあれば 難波の里に 宿り来て 波の入り日を 拝みつるかな」が由来といわれている。

風情ある歴史の散歩道、天王寺七坂

大阪市の中心部を南北に走る上町台地には数々の坂があり、特に天王寺区の坂は歴史的由緒が伝えられている。西縁に沿ってこの辺りには天王寺七坂(てんのうじななさか)と呼ばれる7つの坂{北から真言坂(しんごんざか)、源聖寺坂(げんしょうじざか)、口縄坂(くちなわざか)、愛染坂(あいぜんざか)、清水坂(きよみずざか)、天神坂(てんじんざか)、逢坂(おうさか)}があり、すっかり現在に溶け込んでいる坂もあれば、石畳や石段など昔ながらの風情を残している坂など、この界隈ならではの撮影スポットも多い。
これらの坂のある地域一帯はいわゆる「寺町」で、江戸時代に大阪城下より移転させられた仏教寺院が多く集まっており、逢坂を除く6つの坂がある北西部一帯は下寺町(したでらまち)と呼ばれる。

日本の社会福祉事業の発祥地

谷町筋を南へ下り大阪星光学院の北の角を右折して百メートル程進むと、右に四天王寺別院愛染堂が見えてくる。寺伝では聖徳太子が開いた施薬院(せやくいん)に始まり、古代インドの王娘が登場する経典{勝鬘経(しょうまんきょう)}を太子が講じたので勝鬘院とも呼ばれている。
施薬院は薬草を栽培して怪我や病気で苦しむ人を救うための施設で、日本の社会福祉事業の発祥地ともいわれている。本尊は愛染明王で、煩悩(欲望)を菩提心(悟り)に導いてくれる仏様。全身燃えるような赤色で忿怒の形相をしているが、これは悪者を寄せ付けぬためらしい。
「愛に染める」という言葉から、恋愛、良縁、夫婦円満にご利益があるとして女性の信仰が篤いことでも知られており、直木賞作家川口松太郎が付近に住んでいたことからか、境内には代表作「愛染かつら」のモデルの霊木がある。
金堂の後ろにそびえ建つ多宝塔は、大阪市内最古の木造建造物で国の重要文化財。593年に聖徳太子によって創建され、織田信長の大阪石山寺攻めの際に焼失したが、1597年豊臣秀吉により再建された。


愛染かつら霊木

多宝塔

愛染さんから始まる大阪の夏祭り

毎年6月晦日から始まる愛染まつりは大阪のその年の夏祭りのはじめで、天神祭、住吉祭に並ぶ大阪三大夏祭りの一つとして大阪市の無形民俗文化財に指定されている。大阪の夏祭りは「愛染さんで始まって住吉さんで終る」といわれており、愛染娘の宝恵駕籠(ほえかご)行列の掛け声は、2000年に選定された「21世紀に残したい大阪の音風景」のひとつでもある。

阪神タイガースファンの隠れたる聖地

愛染堂の門を通り過ぎるとすぐに大江神社の鳥居が目に入る。聖徳太子が四天王寺を創建した際に、その守護として造営された神社と伝えられており、河堀稲荷神社、堀越神社、久保神社、小儀神社、土塔神社、上之宮神社と共に「四天王寺七宮」とも呼ばれている。
天王寺から見て位置が乾(北西)の方角にあることから江戸期には乾神社とも呼ばれ、また毘沙門堂とも呼ばれた。毘沙門天は、寅年寅月寅日寅刻に現出する信仰から、境内には珍しい狛犬ならぬ狛虎が奉納されており、阪神タイガースのファンが勝利の願掛けに訪れることも多い。
境内には「夕陽丘」の碑があり、このあたりからの夕焼けは今も美しい。


愛染坂下り口と大江神社

大江神社「狛虎」

大阪の清水寺


清水坂上り口

愛染坂から南に歩くと、左に緩やかな石段でできた清水坂が見えてくる。この坂は清水寺{正式名称は有栖山清光院清水寺(ありすざんせいこういんきよみずでら)で四天王寺支院}に続く。創建は不詳だが、1640年に延海大阿闍梨が京都の清水寺を模して中興したといわれており、京都清水寺より譲り受けた十一面千手観世音菩薩を本尊とする。
高台の境内には「清水の舞台」もあり、往時は大阪の街や大阪湾を見渡す眺望の地として多くの参拝者が訪れたという。また、音羽の滝そっくりな大阪市内唯一の天然の滝「玉手の滝」が流れる。この滝は四天王寺金堂下の青龍池とつながる霊水とされていて、時折、滝に打たれて修行する行者を見ることができる。


大阪「清水の舞台」

玉手の滝

■愛染堂の観光情報はこちらから
愛染堂(勝鬘院) http://aizendo.com/
■周辺の見所
天王寺七坂、下寺町 http://www.city.osaka.lg.jp/tennoji/page/0000000496.html
生國魂神社(生玉神社) http://nihon-kan.com/ikutama/

情報提供/歴史街道推進協議会
歴史街道のイベント
教育プログラム
「史跡 日根荘遺跡で米作り体験」
6月17日(土)[予備日18日(日)]

次代を担う若者や子どもたちに日本の歴史や文化にもっと親しみ、理解を深めてもらおうという歴史街道版「教育プログラム」。
6月と10月に、「史跡 日根荘遺跡で米作り体験」を開催します。
中世からほとんど変わらない状態で現存する全国でも珍しい荘園遺跡で米作りを体験しましょう。

実施日:6月17日(土)[予備日18日(日)]⇒田植え
    10月中旬の土日を予定 ⇒稲刈り
集 合:泉佐野市立大木小学校9:00(14:00終了予定)
対 象:小学生、中学生とその保護者
定 員:20組 40名(申し込み先着順)
参加費:大人 お一人様2,000円、小中学生お一人様1,000円
締 切:6月12日(月)必着
詳しくは http://www.rekishikaido.gr.jp/201706hinesyo/

“歴史と文化の宝庫”関西を舞台に、新しい歴史の楽しみ方をご提供する「歴史街道倶楽部」。会員の方には歴史街道ならではの各種ツアーにご参加いただけるほか、季刊の会員誌「歴史の旅人」や各種施設の割引など魅力満載。あなたの知的好奇心をくすぐる歴史街道倶楽部、ご入会をお待ちしております。

■年会費:3,000円  ■入会金:1.000円
お問合せ、資料請求はコチラのバナーをクリック!▼

新規会員登録

最新のあすたいむ冊子

“第二の人生をおくるための生活応援情報誌『あすたいむ』 年4回季刊で発行!” 発行地域近隣のあすたいむ倶楽部会員宅へお届けしています。

巻頭特集
日帰りで楽しむ とっておきの時間

全国のあすたいむ倶楽部