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歴史コラム

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第63回 日本庭園の変遷を巡る⑤(室町時代)

京都五山第一位の天龍寺

京都屈指の名勝地・嵐山の程近く、桂川東岸に立地する臨済宗天龍寺派の大本山、天龍寺。西芳寺からは桂川をさかのぼり、渡月橋を渡って数分のところに位置する。
足利尊氏が征夷大将軍となった翌年1339年に吉野で崩御した後醍醐天皇の菩提を弔うために、尊氏により創建された。夢窓国師が尊氏に敵対していた天皇を弔う菩提寺として天龍寺の建立を強く勧めたことによる。開山は夢窓国師。庭園も夢窓が築造した。
尊氏は禅寺として壮大な規模と格式を与え、京都五山の第一位とした。盛時、寺の境内は今の百倍もあり、百五十もの塔頭が甍を並べていた。嵐山も寺域の一部で、山上からは京都の街やはるかに比叡山を眺望することができたという。
この地には平安時代初期から、嵯峨天皇の皇后が中国(唐)の僧・義空禅師を招いて開いた檀林寺があった。そこに鎌倉時代に後嵯峨天皇とその皇子である後の亀山天皇が亀山殿として離宮を造営。後醍醐天皇はかつてこの亀山離宮を住居としており、天龍寺はその跡地に立つ。
夢窓国師は「禅宗が日本に伝わって広がり盛んになることにおいて、この地にあった檀林寺が先駆けであり、天龍寺がしんがりである」と述べている。

禅語に由来する曹源池



方丈の西に広がる曹源池庭園

天龍寺庭園は方丈の西に広がり、池の名は曹源池(そうげんち)という。曹源池の名は「曹源の一滴水」という禅語に因んでおり、その意味合いは次のようにいわれている。
「曹源」とは、曹渓の源泉の意味で、曹渓とは六祖慧能(えのう)のことをいう。達磨(だるま)、慧可(えか)、僧粲(そうさん)、道信(どうしん)、弘(ぐにん)と続いて来た禅の流れが、六祖慧能禅師によって大成し、臨済(りんざい)、雲門(うんもん)、洞山(どうざん)、潙山(いさん)、法眼(ほうげん)という禅匠たちによって、臨済宗、雲門宗、曹洞宗、潙仰宗、法眼宗の五家と、これに臨済宗の二派、楊岐(ようぎ)派と黄龍(おうりょう)派を加えて五家七宗に分化発展し、日本にも二十四流の禅として伝えられ現在に至っている。この源をさぐれば、すべて「曹渓」の一滴水から流れ流れて来たものにほかならないことから、転じて禅の根本を「曹源の一滴水」といい、禅の真髄、正伝の禅法を「一滴水」という。

曹源池は東西約35メートル、南北約55メートルの規模で、州浜式の汀や島、松などの植栽、白砂を配置した平安風の庭を基調としているが、中国(宋)風の石組みなどに禅味を加味している。嵐山や庭園西に位置する亀山を取り込んだ借景式庭園でもある。左右から半島のように出島が突き出ており、池の景観に変化をつけ、奥行きをだしている。庭の右手はるか後方にみえる愛宕山は、中国の霊山のひとつ五台山(ごだいさん)に比定されている。庭から霊峰を拝するのは、夢窓庭園の特徴のひとつである。

日本庭園史上の頂点をなすデザインと技術


方丈対岸正面の龍門瀑と石橋

夢窓は西芳寺庭園とほぼ並行してこの庭を造ったが、天龍寺の龍門瀑は西芳寺のものと異なり急斜面に組まれている。中段には鯉を象徴した石の鯉魚石(りぎょせき)がある。方丈からは見えにくいが、龍門瀑の下に三枚の石橋※が組まれており、日本庭園における現存最古の石橋である。
この龍門瀑は現在では枯滝となっているが、江戸時代後期の文献には水が流れている様子が描かれており、龍門瀑後方の山腹に湧水の跡があることから、かつての一時期には、そこから滝水が導かれていたと考えられている。
庭の景色の中心をなすのは、方丈対岸正面に位置するこの龍門瀑とその前の石橋、池中立石(ちちゅうりっせき)一帯の石組みで、背後の山の豊かな緑と広い水面の中で求心的な庭景の焦点となっている。そのデザインと技術は日本庭園史上のひとつの頂点をなすものと評価されている。
天龍寺は創建時以来幾度となく被災と再建を繰り返してきており、現在の伽藍の大部分は明治時代後半以降のもので、創建時の姿は夢窓作の庭園に面影が伺えるのみである。



龍門瀑と石橋(拡大)

※なぜ三枚なのかにはいくつかの説がある。山中で修業し、俗界に下りないことを誓っていた禅僧がいた。ある日友人が二人、彼を訪ねてきた。楽しく語らった後、禅僧は友人二人を途中まで送ることにした。するとまた話に夢中になり、渡るまいと誓っていた俗界への橋を通り越し、気が付いた三人は大笑いした。これを「虎渓三笑」といい、この三人に因むという説がある。他に過去・現在・未来の象徴などという説もある。



■観光情報はこちらから
京都嵐山花灯路 http://www.hanatouro.jp/arashiyama/

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