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歴史コラム

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第45回 熊野三山を訪ねて(田辺市・那智勝浦町・新宮市)

熊野古道の旅・熊野本宮大社


中辺路 発心門王子

世界遺産登録12周年をむかえる「紀伊山地の霊場と参詣道」。高野山、熊野三山、吉野・大峯の三つの霊場と、これらをつなぐ参詣道が含まれています。
平安時代、皇族や貴族、武士の間ではじまった熊野信仰は、やがて「蟻の熊野詣で」といわれたほど、一般庶民にまで広がっていきました。男女を問わず、貴賤を選ばず…と多くの人々を受けいれた熊野には今も多くの人々が訪れています。
熊野への参詣道は、田辺から半島を横切るように通る中辺路のほか、大辺路、小辺路、伊勢路、そして、吉野と熊野を結ぶ修験道の道・大峯奥駈道などが知られています。
どのルートも踏破するには日数がかかりますが、バス停などをポイントにしてコースを分けて、熊野古道ウォークを楽しむのが一般的です。
中でも、発心門王子から熊野本宮大社までは、熊野古道中辺路のクライマックス。
五大王子の一つで、仏の道に帰依する心を発する入り口という意味をもつ発心門から、ゆるやかな下り道を里山の雰囲気と森の空気を味わいながら、水呑王子、伏拝王子を通ります。歩行総距離約7kmで熊野本宮大社につきます。
熊野三山の中心で、新宮(熊野速玉大社)、那智(熊野那智大社)とともに全国に3000社以上ある熊野神社の総本宮。『源平盛衰記』によると、最多の熊野御幸を行った後白河上皇は、本宮へ34回、新宮と那智は各15回詣だとか。
主祭神は、家津美御子大神(スサノオノミコト)。三本の川の中州にあたる「大斎原」に社殿が建てられたのは7世紀。明治時代の大洪水により、現在の場所に移されました。



熊野本宮大社

大斎原

熊野古道の旅・熊野那智大社


補陀落山寺

大門坂

「補陀洛や 岸うつ波は 三熊野の 那智のお山に ひびく滝津瀬」
平安時代から江戸時代、海のかなたにある観世音菩薩の理想郷である補陀落山(ふだらくさん)への渡り口が那智の浜にあると信じられていました。実際に、二十五名が小さな船に油と食糧をたずさえ、南海の果てに船出する「補陀洛渡海」を行なったと伝えられています。
那智駅から徒歩五分ほどのところにある補陀洛山寺の境内には、この25名の名前が刻まれた石碑や、彼らが乗りこんだという船の復元模型が展示されています。補陀洛山寺の本堂に隣接して熊野三所大神社という神社があります。明治の神仏分離、廃仏毀釈により、熊野でも多くの寺院が排され、神道化していきましたが、ここではその神仏習合の名残を見ることができます。
那智川沿いに約5.5キロ登っていくと、熊野古道大門坂の石碑が見えてきます。
南方熊楠が3年近く滞在した大坂屋旅館跡をすぎ、振ヶ瀬橋を渡ると、夫婦杉と呼ばれる、樹齢800年と推定される杉の巨木が二本。ここから全長約500m、高低差約100mの石段と石畳が続きます。道の両側には樹齢500年ともいわれる杉の木が並び、荘厳な雰囲気が漂います。
大門坂を登りきると、熊野三山のひとつ、熊野那智大社へ続く参道の石段が続きます。
473段におよぶ石段の上に、6棟からなる社の祭神は夫須美神(ふすみのかみ)。万物の生成・育成を司る神様で、諸願成就の神、縁結びの神としても信仰を集めています。
那智大社に詣で、西国三十三所第一番札所の青岸渡寺へ。1千日(3年間)の滝籠りをされた花山法皇が、988年に行幸され、西国33所一番札所として定められたと言われています。本堂からは、朱塗りの三重の塔と落差日本一の那智の滝が一幅の絵のように見渡せます。



熊野那智大社

青岸渡寺と那智の滝

熊野古道の旅・熊野速玉大社

本宮から熊野川を下った河口、千穂ヶ峰の北東麓に鎮座するのが、熊野速玉大社です。
JR新宮駅から徒歩15分。鮮やかな朱塗りの鳥居は、両部鳥居と言われるもの。参道を進んでいくと、1本の巨木が目をひきます。ご神木として、国の天然記念物にも指定されている「ナギの大樹」です。この木は、平清盛の嫡男・重盛の手植えと伝えられ、樹齢は千年を越えているとか。ナギは「凪」(風がなく、海面が穏やかな状態)に通じるところから、海上安全、また、良縁結びとして信仰されています。参道をさらに進むと、朱塗りの社殿が横に5棟並んでいます。主祭神は熊野速玉大神。
もともとは、速玉大社から南へ1~2km行った千穂ヶ峰の権現山(神倉山)に祀られていましたが、のちに現在の地に遷されました。そこで、権現山を古宮と呼ぶのに対し、ここを新宮と呼ぶようになったといわれています。
昭和に再建された社殿は朱塗りの色も鮮やかで、平安時代初期に制作された熊野三神をはじめ、十二所権現ゆかりの神像が祀られています。
境内にある神宝館も1200点にのぼる国宝が保管されていますので、是非、立ち寄ってみてください。
速玉大社から南へ。古宮とよばれる権現山は、神様が降臨する神体山として崇められてきました。南には、高さ100メートルに近い断崖絶壁に神倉神社があり、神様が鎮座する「ゴトビキ岩」と呼ばれる磐座がそびえ、圧巻の景観になっています。
熊野三山の旅。熊野の歴史や文化のほか、動植物などの自然を一緒に歩いて案内してくれる地元の「語り部」(有料・事前予約)の方と歩くとひと味違う旅を楽しめます。



熊野速玉大社

神倉神社

■周辺の見所

湯の峰温泉
熊野の3つの温泉
熊野詣において湯垢離場として栄えた日本最古の湯で、小栗判官蘇りの伝説をもつ「つぼ湯」がある湯の峰温泉、清流に囲まれた大自然でアウトドアが楽しめる渡瀬温泉。そして、川原を掘ればたちどころにお湯が湧く仙人風呂で有名な川湯温泉です。
川湯温泉では、12月から、翌年2月まで、大塔川の河原を掘ると温泉が湧き出る特長を生かした冬の風物詩「仙人風呂」が楽しめます。
身も心も癒される蘇りの地・熊野。ゆったり、ほっこり、自分の時間を過ごしてください。
■和歌山の観光情報はこちらから
和歌山県観光連盟 https://www.wakayama-kanko.or.jp/
■アクセス
情報提供/歴史街道推進協議会
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