「角打」という言葉、酒飲みなら誰もが聞いただけで生唾をゴクリとしてしまうのではないでしょうか?
例の酒屋の軒先で赤ら顔のおっちゃん達が立って飲んでいるあれです。
少し調べてみますと、広辞苑にも載っていない。民俗書や食関連の書物等読むとあれやこれや書かれておりますが、どうも北九州が発祥の言葉の様です。意味するところは「酒屋の店頭で酒を飲むこと」とのことで場所ではなく「こと」を指している様です。「角」というのは立ち飲みカウンターの角かと思いきや、量り売り用の酒を升に入れてその角に塩を乗せて、その塩をつまみに酒を飲んだ、その升の角に由来をしているように見受けられます。その辺りの真実をご存知の方がいらっしゃればぜひお知らせください。
生まれながらに鼻が利くというか、街をブラリと歩いていると何故か角打に良く出くわします。北九州出自の角打も食の台所関西に広がり、今では東京のあちらこちらで酒好きの喉を潤してくれています。私がこのところ贔屓にしております角打を二軒程ご紹介しておきますと、ひとつが神田「藤田酒店」。ここは酒に囲まれて呑むその雰囲気がたまりません。おつまみの主流が缶つまというのがまたよいです。神田は東京でも最も江戸の気っ風を感じる場所。店も客もスカッと気持ちよく、なぜか若い女性も多いのがウレシイ角打です。もう一軒が、四谷を代表する「鈴傳」。こちらは隣に酒販店を構え呑み処としては独立した形。四谷住人から遠方客まで酒好きを吸引する酒の聖地的お店です。先日も夕方4時頃ブラリと立ち寄るとランニング途中のジャージ姿のドイツ人が一人で鯖の生寿司を蓬萊泉で美味そうにやっておりました。
最近我が家にお客が来るとついついやってしまうのがお家角打。もちろん我が家は酒屋ではないので厳密に言うと角打風です。あるだけの酒と角打的つまみをゆるりと並べ、椅子を外し、なんとなく角打風に雰囲気をしつらえ酒を呑む。ただ、それだけではあるのですが、角打だ!と思うだけでなんとも気分が上がるのがこれ不思議。ホームパーティというとちょっと大変ですが、お家角打というとつまみはあえての缶つまでもOK。呼ばれる方も呼ぶ方も喜楽千万。片付けも楽チン。 一升瓶がオブジェになるお家角打、ぜひお宅でも。我が家は今夜もやりますよ。