第十三回　出汁好きワンダフルライフ

出汁好き増殖

どうもこのところ出汁好きが増えている感じがビンビンにします。もちろんヨイコト。僕の周りでも「築地で３種類の煮干し買った！」「昨夜はいい昆布出汁の味噌汁たっぷり飲んだから快調！」「出汁ソムリエの資格取ったの〜♪」など出汁ワードの会話を耳にしない日がありません。先日も大学生の知り合いが「京都旅行した時にステキな出汁スタンドがあって、おもわず一服。はんなりしました〜」とえせ京都弁で目を潤ませておりました。
件の店、調べてみますと中京区にある「ノキシタエディブルガーデン」というお店。名前をふるってます。なかなか素敵なセンスで出汁をサーブ。次回京都へ行った時に覗いてみよう。しかし、この出汁好き増殖感、先の学生の様にどうも若い人に沸いている感がある。そこがまたおもしろいですね。

日本で発見。日本を発見。

この出汁ですが、日本で発見されたもの。明治時代に池田菊苗さんという化学者によって発見されました。なんともいいお名前の池田先生は元来の出汁好き。特に昆布出汁に心酔されていたそうで、好きすぎて探求されすぎついにはその成分である旨みの元を突き止められました。“旨み”は３つの要素から成り立っているのですがその３つとも池田さんの発見。皆さん、よくご存知の「グルタミン酸」「イノシン酸」「グアニル酸」です。この３要素が混ざり合って出汁の“旨み”がつくられていきます。この池田さんの発見は日本のみならず世界的にも「日本の１０大発明」としていまだに学者間で語り継がれています。そしてその“旨み”いまでは“UMAMI”と日本初の世界共通語として普通にアメリカでもフランスでも通用する日本を代表する文化ワードになっています。スゴイ！

出汁を身近にたのしもう

この出汁ですが、一時期お家のキッチンから敬遠されていました。それは、なぜか？顆粒の出汁を大手メーカーが開発し、そっちの方がかんたんじゃんと世のママさんが乗り換えたからです。でも今再びまたキッチンに若い子たちを中心に戻って来ている。これは何かと申しますと、外人が「日本の文化オモシロイで〜す♪」というような感じで若者がおもしろそうとちょっと出汁を試してみると、(1)案外簡単　(2)初めての味　(3)翌日元気といいことずくめだったのが分かったからです。特にカンタンは大きい。出汁は日本発見ですが海外にも出汁はあります。例えばフランス。ブイヨンやコンソメがそう。ですがこれを作るには恐ろしく手間がかかります。それと比較して日本の出汁は昆布もかつおも驚く程カンタン。
最後に僕が出汁指南を受けに行くお店をご紹介します。東京・築地にある「寿屋」という乾物屋。とにかくここの大将はよく出汁のことを知っている。出汁のことだけでなく出汁を使った料理のことや出汁とその土地の関係や昔と今などなど、話がおもしろくて尽きません。もちろん嬉しくなる様な品質の乾物をその人のお財布事情に合った形でご提供くださいます。築地に立ち寄られた際には、ぜひ覗いてみて下さい。
そして、ぜひ出汁を身近に楽しんでみて下さい。古くて新しい日本をあなたも発見して楽しみませんか！