1日摂取量の基準:ムチンの摂取基準はありません。
ムチンは食物成分としてはレンコン・オクラ・山芋・里芋・なめこ・モロヘイヤ・つるむらさきなどのぬめり・ねばりけの成分として含まれる糖質とタンパク質の複合体です。山芋のぬめり成分は多糖類のガラクタン・マンナンがたんぱく質と結合したムチンです。ムチンは植物に含まれるだけではなく、私たち人間の消化器官や呼吸器官の表面を覆うぬるぬるとした粘膜の主成分にもなっています。
ねばねば成分のムチンには粘膜を潤して強化する働きがあります。胃では胃粘膜を強化し、胃壁を保護する働きがあります。また、傷ついた胃粘膜を修復し、胃潰瘍や胃炎の予防・回復の効果が期待されます。鼻粘膜を強化することで細菌・ウイルスから体を守り、風邪予防の効果が期待できます。他にも、腎臓・肝臓機能の向上、細胞の活性化による老化予防にも有効という報告があります。ムチンはたんぱく質分解酵素を含んでいるので、たんぱく質の消化吸収を助け、効率よくたんぱく質を摂取するのに役立ちます。
ムチンの主成分である多糖類は食物繊維であるため、下痢を起こしたり、必要な栄養素の吸収を妨げることも考えられますが、食品からの通常の摂取では食物繊維は不足しがちな栄養素の一つでもあり、過剰摂取になることは考えにくいです。サプリメントでの摂取や特にムチンを含む食品の多量摂取では過剰摂取になることもありますので注意が必要です。
ムチンはねばねば成分なので、オクラ・山芋・里芋・レンコン・モロヘイヤ・アシタバ・ナメコなどヌルヌルッとした食品の多くに含まれています。粘りの強い食品ほど含有量は多く、納豆には特に多くのムチンが含まれています。
ムチンはたんぱく質分解酵素を持つので、魚や肉といったたんぱく質を多く含む商品と一緒に摂ると効率よくたんぱく質が消化吸収されます。たんぱく質分解酵素は熱に弱く、60度以上の加熱でその効果が薄くなるといわれています。たんぱく質の消化吸収の効果を期待するときは、生での摂取がお勧めです。加熱する場合は、短時間の調理を心がけましょう。また、ムチンは胃粘膜の保護に役立ちますので、飲酒の際、おつまみとして、ねばねば食品を一緒に摂ることで、アルコールから胃を保護してくれます。