北野天満宮 三光門
2月に入ると、各地で梅の開花情報がちらほらと聞こえてきます。梅と言えば、天神さん。京都北野にある北野天満宮は、平安時代を代表する文化人で学問の神様としても知られる菅原道真を祀った全国に1万以上ある天満・天神社の総本社です。
JR嵯峨野線「円町駅」から徒歩約2キロ。天神通りを北へ歩いていくと、北野天満宮の大きな一の鳥居が見えてきます。続いて二の鳥居、三の鳥居とくぐっていくと、「文道の大祖 風月の本主」の扁額が掲げられた堂々とした楼門が。楼門をくぐり参道を奥に進むと、三光門、その奥に中庭があり、またその奥に拝殿、そして本殿が建てられています。創建は947年。現在の社殿は1607年に豊臣秀吉の遺命によって、豊臣秀頼の寄進で建てられたもので、絢爛豪華な桃山文化の威容を誇る建物は、まさに太閤ごのみ。
「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花…」の歌でも知られるように、梅を愛した道真にちなみ、楼門手前にある梅苑には、約50種、1500本余りの梅が植えられ、2月初旬から3月下旬にかけて一般に公開されます。
道真の月命日にあたる2月25日には、梅花祭といわれるお祭りがあり、毎月の天神市とあわせ、豊臣秀吉の北野大茶会にちなんだ野点の席が上七軒の芸妓さんによって行われ、大勢の人で賑わいます。
天神さんと牛
鳥居をくぐりまず出迎えてくれる牛
撫でられて黒光りする牛
拝殿 ここに立ち牛が…
広大な境内のあちこちには、大小様々な牛の像が10数体置かれています。これは祭神である菅原道真(天神様)が、丑歳の生まれで、牛は天神様のお使いと言われることが由来とされています。
子供連れや、立派な角で黒光りしているものや、御手洗場の上にちょこんと乗っているもの、立派な御影石のものなどなど。その色も形も様々。自分の身体の悪い箇所を撫でた後、牛の像の同じ箇所をなでると、自分の悪い箇所が治るとか、牛の像の頭を撫でると頭がよくなるといわれ、受験生をはじめ、たくさんの人が訪れ、それぞれに牛をなでていきます(黒光りしているのはそのため)。
形や色は様々ですが、共通しているのは、臥牛(横たわった牛)であること。これは、大宰府で生涯を閉じた菅原道真の御遺骸を運んでいる途中、車を引く牛が座り込んで動かなくなったため、近習達がやむなくその付近のにあった寺院「安楽寺」(現在の大宰府天満宮)に埋葬したという故事にちなんだものとか。
ところが天満宮の中で、たった一頭立った牛があり、七不思議のひとつとして天満宮のホームページでも紹介されています。さて、どこでしょう。答えは拝殿欄間の彫刻に刻まれた神牛です。
太閤さんの都づくりの跡
豊臣秀吉は、天下統一の後、長い戦乱で荒れた京都の都市改造の一環として、外敵の襲来と鴨川の氾濫から市街地を守る堤防として、多くの経費と労力を費やして土塁を築きました。東は鴨川、北は鷹峰、西は紙屋川、南は九条に至る延長22.5キロメートル、高さ約4~5メートル、外側には幅4メートルから18メートルの堀を伴なうもので、御土居と呼ばれています。現在でも、蘆山寺、鷹ケ峯、大宮など9箇所にその一部が残されており、国指定史蹟となっています。その一つが北野天満宮の苑内にあり、梅園の一般公開の時に同時公開されます。京都のまちづくりの一端が見られる良い機会なので、是非、見学してみてください。
■周辺の見どころ
周辺には、京都で最も古い歴史をもつ花街・上七軒やだるま寺の名で知られる法輪寺、五色八重散椿が有名な通称椿寺の地蔵院、桓武天皇が平安遷都に際し、方位守護のためにお祀りしたのが始まりといわれる大将軍八神社などの見どころもあります。ゆっくり歩いて、京都の冬を味わってください。
■北野天満宮の観光情報はこちらから
■北野天満宮へのアクセス
◇名神高速道路南インター又は東インターから約30分
◇JR京都駅、JR・地下鉄二条駅・JR円町駅
◇地下鉄今出川駅・京阪三条駅・阪急大宮駅から
市バス・京福電車白梅町駅より徒歩5分
情報提供/歴史街道推進協議会