奈良県明日香村は、592年から平城宮に遷都される710年までの飛鳥時代に歴代の天皇が宮を置いたところ。日本の原風景を偲ばせる景観とともに古代都市空間を今に伝えています。
古代、朝鮮半島から多くの渡来人がやってきて、新しい技術や知識をここに伝えました。飛鳥はまさに「飛ぶ鳥」のように遠い大陸からやってきた渡来人が、朝廷直属の部民として暮らした「安宿(あじゅく=安心して暮らせる場所)」であり、これが「あすか」の語源であるとも言われています。
近鉄飛鳥駅前にある総合案内所・飛鳥びとの館で村内9箇所(施設)の割引券と「明日香イラストマップ」が付いた「飛鳥王国パスポート」(百円税込)が入手できます。村の散策は、徒歩でも、レンタサイクルでも、また時間を調べて村内を周遊する「かめばす」の利用など、出来れば車ではなく、ゆったりと時間をかけてまわってみたいものです。
近鉄飛鳥駅から徒歩約7分。国営飛鳥歴史公園へ。国営飛鳥歴史公園館は歴史街道iセンターでもあり、高松塚、石舞台、祝戸、甘樫など歴史公園周辺の情報を入手できます。
周辺には高松塚、中尾山などの古墳が。高松塚古墳は、内部を見ることはできませんが、隣接の高松塚壁画館で、石槨内部の模型と、永久保存が図られている高松塚古墳の出土品(模造)や壁画の模写が展示されています。
村内には、渡来人の手によるという亀石、酒船石、鬼の雪隠・鬼の俎、二面石など名前もユニークな石造物が点在し、その大きさ、形のユニークさが「誰が作ったの?」「これは何の目的?何に使うの」・・・古代へのロマンをかきたててくれます。
高松塚古墳から東へ。30数個の岩の総重量は約2300トン、天井石は約77トンという巨石が使われた石組は、蘇我馬子の墓でなはないかと言われる石舞台古墳、わが国最大級の方墳です。
石舞台古墳の西隣には、「明日香の夢市」という施設があり、とれたての野菜や果物、飛鳥米・古代米など明日香のお土産を買うことができます。
http://asukadeasobo.jp/shop/yumeichi
石舞台古墳を過ぎてまっすぐ、玉藻橋を渡って左へ。丘のふもとの集落を過ぎると、653年、皇極上皇と中大兄皇子らが天皇の意に反して難波宮から飛鳥に戻ったときの宮跡といわれる「飛鳥稲淵宮殿跡」の石碑があります。
村内の、そこここで謎の石造物と遭遇しますが、このあたりにも「マラ石」といわれるユニークな石がたっています。地元では飛鳥川を挟んで対岸にある丘を「フグリ山」と呼び、ふたつで一対をなす「子孫繁栄」「五穀豊穣」を祈る古代信仰の遺物といわれています。
稲穂が刈り取られた棚田をぬけて、飛鳥川の上流へ。橋から川へと目をやると、川の上に男綱とよばれる綱が張られています。毎年1月の成人の日に行われる『綱掛け神事』で張られるこの縄にもまた五穀豊穣・子孫繁栄の願いが込められています。
飛鳥寺から徒歩5分ほどのところにある飛鳥坐神社では、毎年、2月第1週の日曜日(2016年は2月7日)に子孫繁栄、五穀豊穣を祈る「おんだ祭」というユニークな行事が行われます。天狗とお多福が演じる濃厚なラブシーンが参拝客の笑いを誘います。明日香には素朴な昔からの信仰が残されています。
甘樫丘の上に立つと、南に、のどかな明日香村の風景、北に、畝傍、耳成、香具山の大和三山に囲まれた藤原京跡を望むことができます。
ここ飛鳥の地は、6世紀半ばから7世紀後半までの150年間、国の中心でした。高松塚古墳内部の石室に描かれた極彩色の壁画のように、国際的な雰囲気が溢れる場所だったのではないでしょうか。
645年の大化改新で、中大兄皇子は中臣(藤原)鎌足と図り、蘇我氏を倒し、政治の改革に着手しました。皇子は、天智天皇となり、近江令を制定するなど、律令国家体裁を整えていきます。やがて都は飛鳥から藤原京、平城京へと移り、飛鳥の地にはのどかな風景と歴史が残されました。
伊勢は、「美し国」といわれました。そこに天照大御神を案内して安鎮したのは、垂仁天皇の皇女倭姫とされます。伊勢神宮鎮座にまつわる倭姫の旅を山根基世氏の朗読で、上方から伊勢への旅を桂文我師による落語でお楽しみいただきます。またこのほか、「なぜに伊勢へ」をテーマにパネルディスカッションを開催します。
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