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歴史コラム

Presented by 歴史街道推進協議会歴史街道

第38回 天下分け目「天王山」のおひざ元・大山崎を訪ねる(京都府大山崎町)

天下分け目の山崎合戦の地を歩く


大山崎歴史資料館

阪急「梅田」駅、JR大阪駅から電車で約30分。都会から次第に田園風景となり、車窓の両側に山と川が迫ってくると、そこが京都府大山崎町です。
天王山と淀川に挟まれた狭隘な地形に、阪急、JR、新幹線が走り、西国街道を挟んで、国道171号と名神が通る、日本でも有数の交通の要衝です。
大山崎町と言えば天王山。天王山といえば、天下分け目の山崎合戦があった場所として有名です。
1582年6月、天下統一を目指す織田信長は、明智光秀の謀反によって京都本能寺で殺害されます。備中高松城の戦いに臨んでいた羽柴秀吉は、この本能寺の変を聞き、毛利氏との講和を素早くまとめ、中国地方から主君の敵を討つため京の都へと急ぎ引き返します。よく知られる「中国大返し」です。
一方、光秀は、天王山と淀川に挟まれた隘路の地形となる大山崎周辺で迎え撃ちます。両者の戦いは鉄砲戦で、京都まで音が聞こえるほど激しいものであったとか。結局兵力に勝る秀吉軍が勝利し、光秀は敗死。以後、秀吉が統一事業を受け継ぐことになりました。
まずは、JR山崎駅から徒歩5分、阪急大山崎駅から徒歩1分のところにある大山崎町歴史資料館へ。
山崎合戦にかかる映像や資料はもちろん、館内では、国宝で千利休がつくったと言われる茶室「待庵」の実物大の模型が展示してあるなど、大山崎の歴史をわかりやすく解説しています。
資料館から、いざ天王山へ。標高270メートル、天下分け目の合戦の舞台も、今は気軽に登ることができるハイキングコースとなっています。 天王山への主な登り口は三カ所。お薦めは、「秀吉の道」として整備されているハイキングコースで、アサヒビール大山崎山荘美術館付近から始まって、宝積寺を通り、三川合流展望広場、旗立松展望台、酒解神社、そして天王山山頂広場へと続くコースです。このコースの愉しみは、秀吉の天下取りの物語を解説する案内板。全部で6箇所に設置された案内板には、絵画と解説文が書かれ、「本能寺の変」に始まり、「中国大返し」「山崎の合戦」などを経て、山頂の「秀吉の覇権」で完結しています。



天王山ハイキングコースの案内板

天王山ハイキングコースの案内板

優雅な時間を山麓の大山崎山荘で過ごす


大山崎山荘美術館

ハイキングコースの始まりあたりに建つアサヒビール大山崎山荘美術館。JR山崎駅を降り、急な坂道を登っていくと、トンネルの向こうに、約5500坪の広大な庭園が広がります。
大山崎山荘は、大正から昭和初期にかけて加賀正太郎によって建築された「大山崎山荘」(登録有形文化財)と、建築家・安藤忠雄氏の設計による地中館、山手館からなっています。
館内には、河井寬次郎や濱田庄司、バーナード・リーチの作品を中心に、古陶磁、家具、染色作品などが展示されているほか、地中館では印象派のクロード・モネの代表作として知られる「睡蓮」の連作が展示されています。
建物自体が文化財で、かつ、説明がなければうっかり見落としてしまいそうな細部にまで意匠がこらされており、見所満載!といった感じです。
「大山崎山荘」を建てた加賀正太郎は、証券業をはじめ多方面で活躍した実業家であり、大山崎山荘で蘭の栽培を手がけ、植物図譜「蘭花譜」を刊行するなど、趣味人としても大きな業績を遺した人物です。
こんな素晴らしい文化財も、近年、天王山麓の大規模開発が計画された際に、あわや取り壊し・・・という瀬戸際までいったとか。天王山周辺の景観を保全したいという地元の方々の熱意と、京都府、そしてアサヒビール、大山崎町などの協力で、美術館として活用されることとなり、安藤忠雄氏によって、修復、新館が設計されました。
山荘の2階のベランダからは三川合流の景色を眺めながら、美味しいコーヒーとケーキを楽しむこともできます。



美術館の中から中庭を望む

ベランダから見た三川合流地点

一寸法師と鬼ゆかりのお寺


宝積寺

天王山の登り口の一つ、宝積寺は、寺伝によると8世紀、聖武天皇の勅願により行基菩薩が建立したといわれる古刹です。桃山時代建立の三重搭や本堂、山門や十一面観音菩薩立像、金剛力士像、閻魔王坐像と眷族像など数々の文化財が残されています。特に閻魔王と眷族像は大迫力。本堂左横にある小槌宮には大黒天がまつられ、一寸法師のお話にでてくる打出と小槌が、参詣者に福徳を授けています。
このお寺のもうひとつの見所は、4月18日に行なわれる「鬼くすべ」と呼ばれる行事。古代、疫病退散を祈って始まったと伝えられています。
行者が吹くホラ貝で始まり、お堂の中央に据えられた護摩壇で護摩木が燃やされ、住職が御経を唱え始めると、鬼がどこからともなく現れます。鬼の入堂を見た住職は護摩壇に檜の生葉を次々投げ入れ、モクモクと煙が立ち込めたかと思うとお堂の入り口の扉が閉められ、煙は益々濃くなり横にいる人の顔も見えないくらいに煙ってきます。煙に巻かれた鬼は、鴨居に掛けられた鏡餅に醜い自分の姿を映し、驚いて堂内を逃げまどい、住職が放つ桃の矢に、鬼は逃げていきます。次に、本堂縁側から七福神が加わり恒例の厄除けの餅まきが始まります。
次の春、また是非、奇祭「鬼くすべ」も体感してください。


■周辺の見所
小倉神社
平安時代に編纂された延喜式神明帳に載る、乙訓地方で最も古い神社のひとつ。背後の竹林にある鳥居前古墳の被葬者が神格化され神社が誕生したのではないかと考えられています。
山崎合戦の時、羽柴秀吉は家臣の片桐祐作を遣わし戦勝祈願をしたといわれています。
■大山崎町の観光情報はこちらから
■大山崎町へのアクセス
JR大阪駅から「山崎駅」 約25分
阪急梅田駅から「大山崎駅」約30分
情報提供/歴史街道推進協議会
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