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歴史コラム

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第55回 熊野古道伊勢路を歩く(三重県紀北町)

古くから神々が鎮座する特別な地域として崇められた紀伊山地。仏教ではこの地は「浄土」であり、山岳修行の場であった。甦り・再生を願い、人々は京をはじめとした全国各地から、はるかなる熊野の地を目指した。
和歌山・奈良・三重にまたがって険しい地形が連なり、独自の発展を遂げた「高野山」「吉野・大峰」そして「熊野三山※①」の三つの霊場※②が誕生し、それらを結ぶ参詣道熊野古道※③が形づくられた。
※①熊野本宮大社・熊野那智大社・熊野速玉大社の3社と那智山青岸渡寺(西国三十三所巡り第一番札所)の1寺をいう。熊野三山は熊野古道(熊野参詣道)中辺路によって結ばれている。
※②「紀伊山地の霊場と参詣道」は平成16年にユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されている。
※③伊勢路のほか、紀伊路、小辺路、中辺路、大辺路と、5つの道がある。ただし、紀伊路は前述②の世界遺産の登録対象には含まれていない。

熊野古道伊勢路

熊野古道伊勢路は伊勢神宮と熊野速玉神社を結ぶ参詣道で、熊野三山を詣でる紀伊半島東部を南下する東回りの道。お伊勢参りを終えた旅人や、西国三十三所への巡礼者たちが歩んだこの道は、江戸時代に伊勢参拝が隆盛したことにより、多くの旅人が訪れた。この参詣は「一度参れば一つの業が落ちる」といわれ、速玉大社は過去の業、那智大社は現在の業、本宮大社は未来のご利益を願うものとされている。
平安時代における参詣者は、神仏習合と浄土信仰の浸透により、主に法皇や上皇などの皇族、貴族や女官であった。室町以降は武士や庶民が参詣するようになり、切れ間なく旅人の行列ができた様子から「蟻の熊野詣」とまでいわれた。
信仰心の篤さを「伊勢に七度(ななたび)、熊野へ三度(さんど)」と表現したように、江戸時代には広く庶民が“お伊勢参り”と“熊野詣”を行うようになる。伊勢から熊野へ続く道は、人々の祈りと幸せを結ぶ路でもあった。

紀北町に遺る熊野古道5つのコース


ツヅラト峠案内板

三重県の南部、紀伊半島南端の潮岬と志摩半島の中間に位置する紀北町は、東南部に熊野灘、西北部には日本有数の原生林が残る大台山系に連なる急峻な山々に囲まれた地域であり、平野部が少なく町の総面積の9割近くを森林が占めている。
この町は熊野古道伊勢路5つのコースを有しており、北から順にツヅラト峠、荷坂峠、三浦峠(熊ケ谷道)、始神峠、馬越峠といずれも峠越えのコースとなる。
ツヅラト峠(距離約9km)はかつて伊勢国と紀伊国の境であった峠で、伊勢から熊野へ向かう旅の途中、はじめて熊野灘を望むことができる場所。ツヅラトとはカーブが連続する九十九折のことをいう。
紀州への玄関は長らくツヅラト峠であったが、江戸時代初期に紀州徳川家の藩祖頼朝公が入国して以来、東よりの荷坂峠(距離約8km)越が正式ルートになった。


荷坂峠へ続く路
道幅も広く、勾配もゆるいので歩きやすく、重い荷物を担いでも越えることができるということで、この名前がついたとも言われている。梅ケ谷から峠までは国道沿いを通るが、町境を越えてからは下り坂が多い。途中にある沖見平からの眺めは素晴らしく、ツヅラト峠と同様、紀伊の海が下方に広がっている。
三浦峠(熊ケ谷道:距離約8km)に至るヒノキ林が美しい一石峠の登り口には、旅の安全を祈るがごとく温和な顔の無縁地蔵が佇んでいる。林道を下ると優美な海岸線を誇る

三浦峠道標「右くまの 左いせ」
古里海岸に出る。険しい山道の多い熊野古道の中で、この区間は旅人の心を癒してくれる平坦な海沿いの道である。古里トンネルを迂回するルートでは、洋々たる熊野灘が望め、展望台からの眺めも素晴らしい。
始神峠(距離約3.5km)は始神さくら広場の横を通って昇っていく江戸時代にできた道と、明治時代に造られた道の二つの登り口があるが、頂上で合流している。頂上からは紀伊の松島の絶景が見渡せ、特に洋上に昇る日の出は素晴らしい。サンショウウオを意味する「椒」(はじかみ)が名前の由来と云われている。
馬越峠(まごせとうげ:距離約5km)は紀北町と尾鷲市の境堺にある峠で天狗倉山(てんぐらさん)と便石山(びんしやま)の間に位置する。峠越えの古道は桧の美林とシダに囲まれて約2kmにわたって江戸時代に整備された石畳が良好に保存されており、在りし日の様子が偲ばれる。夜泣き地蔵などの史跡や江戸末期の俳人が詠んだとされる句碑もあり、古道の風情を堪能できる。峠から天狗倉山の山頂へと向かえば、熊野灘の絶海が見渡せる。


馬越峠コースの石畳

始神峠からの眺望



■観光情報はこちらから
紀北町観光情報 http://kihoku-kanko.com/
熊野古道伊勢路情報 http://www.kodo.pref.mie.lg.jp/#video
 
■アクセス
紀北町へのアクセス http://kihoku-kanko.com/access/

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