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歴史コラム

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第57回 天下茶屋界隈を歩く(大阪府大阪市)

紹鴎の森と呼ばれた天神ノ森

大阪の天下茶屋は秀吉ゆかりの地として歴史的にも有名なまちだが、天下茶屋の地名は、かつてこの地にあった茶屋の名に由来する。この辺りは、古代には「天神の森」と呼ばれる鬱蒼とした森の鄙びた土地だったが、応永年間(1394~1428)に京都・北野天満宮の分霊が奉祀され現在に至る。現在の本殿は1702(元禄15)年に造営されたもので、境内には樹齢600年以上というクスノキの大樹が茂る。
室町末期の茶人・武野紹鴎がここに湧く水の良さに着目して茶室を建て、森を切り開いて道をつけ、風月を友に静かに暮らしたので「紹鴎(じょうおう)の森」とも呼ばれた。紹鴎の侘び茶は弟子の千利休へと引き継がれ、歴史にその名を残した。
境内にある安産祈願に御利益があるといわれている「子安石」は、淀君が懐妊したときには堺の政所に往来していた豊臣秀吉も立ち寄り祈願をしたと伝えられている。現在も、子安石の回りの小石を持ち帰り、無事出産後もとの位置に戻してお礼参りする風習が残っている。


天神ノ森天満宮鳥居

子安石

秀吉が愛した天下茶屋


天下茶屋跡

天正年間 (1573~92) に初代芽木小兵衛光立がこの森の西側を開き、ここに茶屋を出した。三代目の頃、住吉大社を参拝した豊臣秀吉がこの地に立寄り、この芽木家の茶店から清泉を汲んでお伴の千利休に茶を点てさせたところ、味の良さに感激。そこでこの泉に「恵の水」の銘を、芽木家に玄米年三十俵の朱印を与えたことから関白殿下の「殿下茶屋」、天下人の「天下茶屋」の名が起こったといわれる。
1945(昭和20)年の戦災に遭うまでは、中二階の本葺きの屋根が印象的な5000平方メートルにもおよぶ広大な屋敷・小兵衛屋敷があったという。その由来を示す建物(芽木家)は戦災で焼失し、現在は天下茶屋跡として、くすのきの大樹と土蔵(後年修復されたもの)、石像だけが残っている。

紀州街道に面した天下茶屋公園

天下茶屋跡から紀州(住吉)街道を200m程北上すると左側に天下茶屋公園が広がる。この公園は薬屋「是斎屋(ぜさいや)」があった場所で、公園東口の横に是斎屋跡の石碑が建てられている。是斎屋は近江国の津田宗右衛門が紀州街道に面した当地へ来て、寛永年間(1624~1644)、住吉大社への参詣で往来する人々に暑気あたりなど夏の諸病にきくという薬として「和中散」を売り、休息をとる人々に薬湯をサービスして、大繁盛したと古文献「摂津名所図会」(1796~98年に刊行された摂津国の観光案内書)に記録されている。
公園内には古代の豪族・阿倍氏の氏寺・阿倍寺の塔柱礎石がひっそりと安置されている。また明治天皇が1868(明治元)年と1877(明治10)年に住吉大社に御参拝の途中で立ち寄り休憩されたということで、明治天皇聖躅(せいちょく)碑及び明治天皇駐蹕(ちゅうひつ)遺址碑が建てられている。


天下茶屋公園

是斎屋跡石碑

上町台地西端の聖天山


聖天山正圓寺

紀州(住吉)街道をさらに100m程北へ進み、松虫通を東へ200m程進むと、地元では「聖天さん」と親しみをこめて呼ばれている聖天山正圓寺にたどり着く。西成区と阿倍野区の境界にあり、「天王寺七坂」と同じ上町台地の西に位置し、この段差が聖天坂となっている。
当山の縁起は939年、現在地より東方800m程のところ阿倍野村に「般若山安倍寺明承院」として創建されたのに始まるが、1615年の「元和の役」の兵火で焼滅。1690年頃この地に堂宇を移築再建し、大阪湾が一望出来る景勝地にちなんで、山号を「海照山」、寺号を「正圓寺」と改称する。それよりも遡る南北朝の頃、この地は徒然草の筆者兼好法師の庵があったと伝わっており、「兼好法師の藁打石」と「兼好法師隠棲庵跡」の碑が境内東側に建てられている。
1723年京都大通寺より来住した和尚が歓喜天を自刻し、聖天信仰の流布宣揚につとめたため、この頃から「聖天さん(山)」と呼ばれるようになったとのこと。当山聖天堂の本尊歓喜天は一木彫像で、国内最大の「聖天さん」だといわれているが、秘仏のため一般公開はされていない。
「聖天山」は標高14mの低山で、天保山、御勝山、荼臼山、帝塚山を併せて「大阪五低山」ともいう。境内には「聖天山山頂」の標識が建てられている。天保山以外は全て古墳で、この山は聖天山古墳と呼ばれる古墳であることが分かっている。



■観光情報はこちらから

■アクセス
天神ノ森天満宮へのアクセス https://yaokami.jp/1270096/

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