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歴史コラム

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第69回 日本庭園の変遷を巡る⑪(安土桃山時代/二条城二之丸庭園)

前々回のこのコラムで、安土桃山時代は「織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三雄が天下統一を争った戦乱の世で、室町幕府が消滅した1573年から関ヶ原の合戦の1600年までをいい、その間わずか28年にすぎない」と記したが、美術史では、1615年の豊臣家滅亡までを安土桃山時代と称するのが一般的で、特に「桃山文化」「桃山美術」などと言う場合、秀吉が覇権を握った天正半ばから文禄を経て慶長の終末に至るまでを時代区分としている。
それは政権の在り処に関わらず、秀吉や同時代の有力者が好んだ華やかな空気が、なお日本を支配していたと認識されているためである。
また、当時の文化的中心であった京都および周辺地域では、秀吉を継いだ秀頼によりなおも活発な社寺建設が行われており、各地でも作事が活発であったことから、豊臣から徳川への政権交代による文化的断絶はなかったといえる。

豪壮華麗な石組・植栽


東南隅櫓。右の濠は堀川通に面する。

右から車寄、遠侍、式台

最後の徳川将軍慶喜(よしのぶ)が大政奉還したところとして名高い二条城は、1602年から翌年にかけて、天下を制した徳川家康が京都の警護と上洛の際の滞在のために造営した城で、年代的には江戸時代であるが、美術史的には安土桃山時代に区分される。
二条城は堀川通り二条にあり、その東北にある京都御所と対峙している。御所を含む京都御苑が築地塀で囲まれて外部に対して穏やかな表情を示すのに対して、二条城は周囲に濠が巡り、強固な石垣が築かれている。
城内は大きく二分割され、西側にはもうひとつ別の濠を巡らした高い石垣積みの残る本丸があり、東側に二之丸御殿と呼ばれる京における将軍の居館がある。 二之丸御殿は遠侍(とおさぶらい)、式台の間、大広間、黒書院、白書院が雁行して配置された大建築で、これら建物は全て国宝である。
庭園は公式の対面の場である大広間の西側および私的な対面などに用いられる黒書院の南側に広がっている。大広間では、将軍は北端の上段に着座して南側の下段の諸大名に対面するので、将軍から見ると右手、諸大名からすると左手に庭園が広がることとなる。
将軍の着座位置から見ると、出入りの多い複雑な平面系形を持つ大きな池と中島が主景となり、その護岸の石組や植栽は見どころとなった。様々な風合いと色彩の大ぶりの石をふんだんに用いた豪壮華麗なデザインは、乱世を最終的に制した覇者の庭としての美意識を示すものといえ、建築、庭園ともに安土桃山時代の絢爛豪華な美を誇っている。
安土桃山時代の美術や建築は、権力を鼓舞する傾向が強い。城郭においては周囲を睥睨(へいげい)する大規模な天守閣が出現し、それに伴い障壁画は金碧濃彩(きんぺきのうさい)が主流となった。権力誇示の傾向は庭園にも見られる。二条城二之丸庭園は大広間や書院からの視点が重視され、狩野派の雄渾(ゆうこん)な障壁画に呼応するように力強い石組が組まれている。


大広間前から見た景観。正面は蓬莱島。

黒書院前から見た景観

行幸に合わせた大改修

築城から23年目の1626年、後水尾天皇を迎えることになり、それを機に庭園の一部が改造された。その指揮を命じられたのが当時最高の数奇者であったといわれる小堀遠州である。彼は行幸御殿の建築をはじめとして、当日使用する調度品や飾り物の指定まで、すべてを執り行った。
天皇が坐す行幸御殿は、庭の南側に建造され、庭園もその視点から鑑賞するように改造された。本来、大広間の西庭及び黒書院の南庭として作られていた二之丸庭園を新たに行幸御殿北庭としての意味を併せ持つものに整えたのである。
庭園の石組などを行幸御殿からの鑑賞を考えた構成に改めたほか、行幸御殿に接した南岸の一部を直線状の護岸に変えたようだ。庭園内の石組や景石には南からの視線に対応したものがあり、これらはこのときに向きを変えられたか、あるいは新たに導入されたものと考えられている。
石組はその道の名手、賢庭(けんてい:後陽成天皇から作庭の「天下一の上手」として授けられた名)の手に成るといわれる。池泉中央に蓬莱島、その左右に鶴島・亀島を配した神仙蓬莱の世界を表した庭と言われ、醍醐寺三宝院の庭との類似性が指摘されている。
御殿は行幸後、他に移されたが、庭園は改修された当時の姿を今に留めている。


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