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歴史コラム

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第70回 日本庭園の変遷を巡る⑫(江戸時代/大名庭園)

江戸時代になり、ようやく戦乱のない平和な世を迎えると、各地の大名たちは権威を保ちつつ、武士階級としての教養を高め、一種の大名芸術ともいうべき文化が花開いた。庭園もそのひとつで、幕府のお膝元の江戸を始め、全国の城下町を中心に一大造園ブームが沸き起こった。

一大庭園都市であった江戸

参勤交代制度により、諸国の大名たちは江戸市中に上屋敷、中屋敷、下屋敷といった大小の屋敷を構え、そこに大庭園を競って築造した。それらの屋敷は徳川将軍を迎える迎賓館であり、他藩との交流の場であった。全国の藩の数は約300といわれており、江戸市中には千近くの藩邸があったことになる。
各領国の大名屋敷の中にも接待・社交の場としての回遊式庭園が数多く営まれ、これらは大名庭園とよばれる。その共通項は広大な池泉を備えていることで、表面的な様式としては大池泉中心の平安時代に戻ったともいえる。しかし、本質的には、伝統的な池庭の様式に桃山時代に成立した露地の機能と意匠や、室町時代後半に確立した枯山水の技法を組み入れた総合庭園様式とも言うべき回遊式庭園であり、公家を中心とした社交の場として営まれた京都桂離宮の庭園がその最初の例とされる。

全国に普及した大名庭園

大きな池の周囲に築山や植え込みなどを配し、橋をかけて園路を巡らせ景観を観賞するというスタイルは、今でいうところのテーマパークでもある。建物を結ぶ園路は飛石や階段を交えながら池の岸や築山を巡り、園路を進むにつれて、園外の景観の見え隠れも併せながら庭の景色が次から次へと変化するように構成されている。舟遊びをする池からの景色にも配慮が払われ、滝やせせらぎの奏でる音もまた庭園を構成する要素として計算されているのである。
江戸市中のそのほとんどは明治以降に取り壊され、今では小石川後楽園や六義園(りくぎえん)などごく一部しか残されていないが、地方ではよく保存されている。日本三名園で名高い水戸偕楽園(茨城県)、金沢兼六園(石川県)、岡山後楽園(岡山県)などがその代表で、今現在いずれも観光の名所である。
大名庭園の様式は、遠く琉球(沖縄)までに広がっている。琉球は15世紀初頭から中国の冊封体制(中国皇帝が使者を派遣して国王を任命し、その国の統治を認めるもの)に組み入れられ、1609年の薩摩藩の進攻とその後の同藩の駐留後もその体制は維持されていた。1800年、琉球国王の尚氏(しょうし)が中国の冊封使(さくほうし)を迎えるために造営した琉球王家別邸の識名園(しきなえん)は、池泉を中心にした回遊式庭園という形状と接待・社交の場という機能は大名庭園そのものといえる。


小石川後楽園

岡山後楽園

広く一般普及した庭園文化

江戸時代には、京都や江戸のみならず全国各地で庭園を造り、愛(め)で、楽しむ文化が広く定着する。寺社においても庭園はなくてはならない存在となり、上級武家や経済力を蓄えた豪商・豪農の屋敷にも庭園が営まれた。その様式は、池庭や枯山水、茶室に伴う露地など多岐にわたり、規模も様々であった。


龍安寺方丈庭園

石庭(せきてい)の名で知られる龍安寺の方丈庭園は、その作庭時期について室町時代の創建または再建時とする説があるが、それぞれの時代に残された資料等の検証から、現在の姿に落ち着いたのは江戸時代前期であったと見るのが有力である。
江戸の中後期には、「築山庭造伝(つきやまていぞうでん)」などの作庭マニュアルが出版されるほど庭づくりが一般的なものとなり、大小の寺院はもちろん、庶民の住まいにも庭がつくられ、庭師も数多く輩出している。



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