店先に並ぶタヌキたち駅舎の中はお土産(たぬきがいっぱい!)をはじめ、信楽高原鐡道の歴史等の展示もあります。
駅から外へ出ると、大きな狸がお出迎え。そこからまっすぐに伸びる道をまずは信楽伝統産業会館へ。
途中、道の左右には陶器のお店が。もちろん、様々な信楽焼きを販売していますが、なんといっても圧巻は「たぬき」。狸の顔は時代とともに変わり、昔はより自然のたぬきに近く、ちょっと細面の怖い顔。今は、丸みのある、小首をかしげた愛嬌たっぷりのタヌキが主流とか。軒先にならぶタヌキの表情の違いを観察するのも楽しいものです。
歴史街道iセンターでもある信楽伝統産業会館は、鎌倉時代のやきものから近世のものまで、ひと目でわかる信楽焼の歴史を展示するほか、企画展示も随時開催しています。観光案内の拠点として信楽の情報のみならず歴史街道各地の情報も発信しているので、散策の前に是非立ち寄りたい施設です。
信楽焼たぬきその答えは、伝統産業会館からすぐ、駅からの道のつきあたりにある新宮神社の鳥居の前に立つ句碑にありました。
“幼などき 集めしからに懐かしも しがらき焼の狸をみれば”
昭和天皇が信楽を行幸された時、陛下を歓迎するのに里人だけでは寂しいので、国旗をもったタヌキの置物を道路に並べ歓迎したとか。この歌は、昭和天皇がそのタヌキを見て、幼児期にタヌキをコレクションされていたことを思い出されて歌ったもの。それが新聞などで報道され、信楽焼のタヌキが有名になったとか。
信楽焼は日本六古窯のひとつで、その歴史は古く中世末期から壺、甕、擂鉢などの焼き物が始められ、昭和の時代には火鉢の全国シェア80%を占めていたそうですが、タヌキの歴史は意外と新しいものでした。
何気なく軒先に置かれた立匣鉢新宮神社は、鎮火と信楽焼の守護神として厚く崇敬され、毎年7月に行われる「しがらき火まつり」では、松明行列がここから2km先の愛宕山の頂上にある陶器神社をめざして出発します。
新宮神社の前からななめ左に続く道が「窯元散策路」。道路に埋め込まれたろくろをデザインした案内板を目印に辿っていきます。
昔は多くの窯元が登り窯で陶器を焼いていたとか。数は減ってしまいましたが、今も道のあちこちで「陶器の里」らしい発見があります。
道路脇にならべられた筒状の陶器。登り窯で火鉢や植木鉢などの製品を焼成するときに土台として用いられるもので「立匣鉢(たちぎや)」と呼ばれるもの。窯の中の位置によって温度も違い、陶器の釉薬がたれていたり、ひとつひとつ見ているとなかなか味のあるものです。
登り窯ギャラリー「Ogawa」
登り窯の内部まで見学できる最近の陶芸作家の方々は電気や灯油の窯など小さめの窯で焼かれることが多いようですが、散策路を昇っていったところにとても立派な登り窯があります。
明山窯の登り窯ギャラリー「Ogawa」。今では、イベントなどでしか使われていないそうですが、綺麗に整備され、窯の中もじっくりとみる事ができます。
隣接する日本家屋は、土・日・祝など喫茶店、ギャラリーとして営業されていますので、営業日時を確認して訪問してください。⇒
http://www.meizan.info/ogama
この辺りでは、陶芸作家のちょっとした遊び心を見る事ができます。
陶器のペンギンがあたかも散歩をしているかのように置かれていたり、壺などのちょっとした作品がなにげなく、道端におかれていたり。今はもう使われなくなった登り窯の跡も風景としてまちの中に溶け込んでいました。
ちょっと風変わりなタヌキの置物が入口に置かれた「谷寛窯 ギャラリー陶ほうざん」は、明治時代の師範学校の講堂を移築し作業場として活用していたものを現在はギャラリーとして用い、置物から日常使いの食器まで、さまざまな焼き物が置かれています。
他にも見学やショッピング、陶芸体験などができる窯元もあります(事前予約が必要なところもあります)。ぶらり、「陶芸のさと」めぐりはいかがですか。
■周辺の見どころ
滋賀県立陶芸の森 http://www.sccp.jp/
やきもの専門の美術館「陶芸館」をはじめ「信楽産業展示館」、「創作研修館」の三つの施設が、
約100点もの陶芸作品が展示されている公園内に建っています。
■信楽の観光情報はこちらから
■信楽へのアクセス
信楽は新名神高速道路の信楽ICからすぐ。京阪神、名古屋方面からも便利です。
◇新名神高速道路「信楽I.C.」から約10分
名阪国道「壬生野I.C.」から約30分
ゆっくりのんびりと電車で行きたい方は、信楽高原鐵道で。平成25年の台風の被害で長らく運休が続いていましたが、平成26年秋、1年2か月ぶりに運転が再開されています。
◇JR草津駅から約1時間
JR琵琶湖線「草津駅」経由、草津駅着「貴生川駅」乗り換え、
SKR信楽高原鐵道「信楽駅」下車
情報提供/歴史街道推進協議会