第一回　ミュージアムを楽しもう

　今回から「ミュージアム」の情報を皆様にお届けします。しかも、最新情報やそのミュージアムを取り巻く隠れた魅力等の話題を提供したく思います。案内役はミュージアム大好き人間の私(木村)が担当します。私のミュージアム履歴は過去に国内外1,000回程の展覧会との出会いを経験、2002年から「関西地区のミュージアム活性化」のお手伝いを継続しております。どうぞよろしくお願い致します。また、読者の皆様のご意見等もどしどしお寄せください。楽しく「あすたいむ倶楽部」を一緒に築こうと思います。
　昨今、世の中の変化とともに、博物館や美術館もどんどん変化しています。そんな状況の中で＜ミュージアムを楽しむ＞ためのアドバイスが出来ればと思います。ミュージアムを訪れると静かで・厳かな雰囲気の中で神妙に別の顔と気持ちを持ちながら歩いたことを思い出すかも知れません。まして、展覧会の隅々に座って真剣に目を見張られる職員の方が妙に気になって・・・。ところが今、ミュージアムは大きく変化しております。それではその変化の中でどのように楽しむか。いくつかの方法をご紹介します。

①ミュージアムの主役である作品を十分堪能するために
　作品を知るためにホームページをご覧ください。様々な解説が載っています。そして出来れば１枚の案内用チラシを事前に読んでください。展示スポットが簡単に理解できます。より詳しい内容を理解したいなら、ミュージアムの実施する解説ツアーやセミナーを利用。あなたはちょっとした学芸員の気分に。そして素敵な作品群があなたにどんどん近づいてきます。

②リラックスしながら雰囲気を自分のものに
　入館いきなりの厳かな雰囲気に飲まれてはいけません。暗めの照明は作品保護のため、入り口の女性の丁寧な挨拶は「展覧会にようこそ！」という感謝と御礼のしぐさです。入り口にある簡易版展示作品説明書を手にして観覧スタート。最初から丁寧に眺めると入り口は混雑。お気に入りの作品中心、目に入った作品を選択、解説イヤホンマークの作品を目印に等々。気に入った作品は近くから、遠くから・・・。慣れてきたあなたはもう他人のことは目にも耳にも入らない自分の空間。私のために各地から取り寄せてくれた作品は、ひと時私の所蔵品。そう思えばもうあなただけの世界が出来上がり。

③ 作品を引き立てる空間を知ろう
　最近、展示作品以外に魅力を訴える建物が増加中。外から見た外観や付近の景観、内部の空間演出など、展示環境そのものが作品であったり、作品を引き立てる素材になっていたり。作品のあるべき理想空間をのんびり、じっくり見ながら明日へのヒントを考える「充実空間いっぷく時間」を楽しんでください。

④ 印象を思い出に変える「図録」の効用を考える
　展示作品を十分堪能して回られたあなたが作品との出会いを感じ、衝撃の感動を得、自由に再会したり、もっと詳細を知りたいのなら出口にある展示図録を購入。納得のいくデザインレイアウト、印刷表現の正確さ、解説のわかりやすさ、そして、側に置きたい作品群、もちろん持って帰ることのできる重さなど・・・。あなたが感じた価値ある内容ならば、以降自宅で何度でも展覧会が開催できることになります。

⑤ ミュージアムショップ、レストラン＆カフェを楽しもう
　以前は建物の片隅にこじんまり存在していたショップやレストラン＆カフェが今は付帯施設ではなく、それ自体で十分な魅力を発揮してきました。ショップの販売点数がどんどん増加し、個性豊かな魅力ある商品が増えました。中には人気のオリジナルグッズを買うためにわざわざ来館される方が・・・。また、レストラン＆カフェも最近は展覧会特別メニューや季節メニュー、そして無農薬・有機栽培を施した絶品までも登場。心を満たした後でお腹を満たせば幸せの連鎖。周りの人の笑顔に元気がもらえます。

⑥ 自身を鼓舞する道具を活用しよう
　展覧会の作品に心満たされ、オリジナルグッズを手に入れ、美味しい食べ物にお腹も満たされ、充実感とともにそのミュージアムを後にする時、また別の展覧会で訪ねようと心に決めた時、あなたはアートやミュージアムを身近に感じている証拠。沢山の情報やイベント案内を継続的に手に入れ、入館特典を得るために会員になることも出来ます。そのように身近な所にもアートを友にする生活、アートを取り入れた日常、そしてアートを通しての仲間とのふれあいなど。心豊かに生きる素材はすぐ近くに点在しております。もちろんあなた一人だけの「独占充実ミュージアム生活」も素敵です。

⑦ 利用価値の広がるミュージアム・ライフ
　ご来場の皆様へのサービスや利用頻度向上への努力として金曜夜のナイトミュージアムや館内でのコンサート、落語会、映画会の開催はご承知の通り。最近では休館日利用の限定鑑賞ツアーやファッションショー、映画撮影現場としての利用も始まりました。美術品の鑑賞だけでなく自由に出入りの出来る公共の施設として、面白い利用法がまだまだ広がることだと思います。皆様からのアイデアもお願い致します。

⑧ お得なミュージアム利用の方法
　ミュージアムの魅力で虜になったとき、出来ればミュージアム館内の棚に並べられた他館の展示告知用のチラシを集めてください。魅力的な情報や素敵なデザインのチラシを選択しながら壁にピンアップを施せば、それは素敵なインテリア。招待券のプレゼント広告や百貨店・新聞社の友の会による入館サービス特典、また「ミュージアムぐるっとパス・関西」の冊子（普及版＠1,000円）を手に入れれば68館のミュージアムの無料入場券・割引券など90枚添付の充実ガイドブックにも。しかも、各館の企画展・特別展の年間スケジュールが記載され「計画的ミュージアム・ライフ」も充実間違いなし。