今までのミュージアム関連の鑑賞歴、接触人脈そして現在のミュージアム支援機会を生かして、様々な視点によるミュージアムの魅力等をご紹介しながら、アクティブシニアの皆様のゆとり生活設計支援ができれば幸いです。
木村 文男
ミュージアムぐるっとパス
関西実行委員会 事務局次長
兼 株式会社廣済堂 常勤顧問
E-mail : m-grupass-kimura@kosaido.co.jp
キヤノンギャラリー梅田 昨年の1月だった。「あすたいむ倶楽部を立ち上げ、元気で行動的な60歳前後の方々に利用いただける情報をご提供出来れば・・・」開設準備室から参加の連絡をいただいた。切磋琢磨の中に身を委ね、全力疾走で活力みなぎる時代を駆け抜けてきた大きな塊の世代が、順次定年を迎えながら人生を折り返そうとしている。過ぎ去りし日々を思い、今を見つめ、明日を楽しむ一コマに、わずかでも色を添えるお手伝いが可能なら・・・。そんな思いからミュージアムのコラムを引き受けさせていただいた。掲載の駄文から、知ったり、見たり、感じたりする機会をご提供できていれば幸いである。文章は一方的な表現だが、読者の皆様の率直なご意見を受け入れると共に、日々工夫と努力の機会を繰り返したいと思う。
富士フイルム フォト サロン(本町) 最近、大阪の中心にあるカメラメーカー運営の「フォトギャラリー」との接点が増え、その作品を見せていただく機会がある。毎回沢山の作品が展示され、多くのファンで賑わっている。交通至便な場所で、アマチュア・グループの息の合った雰囲気が独特の世界をのぞかせる。しかも、競い合い刺激し合って展示された作品は楽しい世界を作り上げていて素晴らしい。梅田近辺にあるキヤノンやニコンのギャラリー、本町付近にあるオリンパスプラザや富士フィルムのフォトサロン、そして長堀橋近くのペンタックスギャラリー等がそれぞれの趣向で競っている。
先日偶然拝見した“時代を作ったヒーローたち『昭和の風貌(かお)展』”は素晴らしかった。昭和を代表する土門拳・林忠彦・田沼武能など6人の写真家による、俳優・作家・政治家・スポーツ選手など激動の中でそれぞれの時代を切り開いたヒーローやヒロインの個性ある写真。著名な写真家による魅力溢れるポートレートであり、希望と活気に満ち溢れた時代のそれぞれの生き様や当時の空気がそのまま映し出されていて、混乱を乗り越え、高度成長期を過ごし、バブル崩壊を経てきたあの頃が重なる。それは、激動の昭和を懸命に生きてきた日本人への賛歌であり、シニア世代への無言のエールに思えた。
昨年4月にも別のフォトギャラリーで今井康夫写真展“俳優座養成所卒業生たちのいま『それぞれの道』展”に出会った。それは我々のイメージに沿って活躍して来た俳優とは違う、別の素顔だった。幾多の苦労を乗り越えて「いま」を過ごす歴史に刻まれた姿があり、ひたむきな日々の努力にたくさんの元気をいただいたことを思い出す。そこには、感動に埋め尽くされた人生が画面いっぱいに無言のまま表現されていた。
1枚の写真が見る者に与える元気や感動。それは感じたままを素直に捉えた時に知る感性のほとばしり。人々が何かを探し求めながら、心の琴線が奏でる心豊かな瞬間に出会うことが素晴らしいのである。その瞬間をカメラ1つで表現できる作品を、貴方が描き出す機会は、すぐ目の前の自然や街や人との触れあいの中に、いまでも溢れているはずである。さあ、また歩き出そう。シニア世代のあのひたむきだった過去を抱きしめたままで。
*あすたいむ倶楽部『芸術』カテゴリーにて、現在東京・銀座で好評開催中(〜2012.7.22)の「フェルメール光の王国展」においてプリンティング・ディレクターを担当された木村氏からの【特別寄稿】「〜フェルメールについて、あなたへの手紙〜」が始まりました。展覧会の面白工夫談、謎解き解説、制作秘話などが次々に発信される予定です。併せてご覧ください。