今までのミュージアム関連の鑑賞歴、接触人脈そして現在のミュージアム支援機会を生かして、様々な視点によるミュージアムの魅力等をご紹介しながら、アクティブシニアの皆様のゆとり生活設計支援ができれば幸いです。
木村 文男
ミュージアムぐるっとパス
関西実行委員会 事務局次長
兼 株式会社廣済堂 常勤顧問
E-mail : m-grupass-kimura@kosaido.co.jp
それぞれのフェルメール展PR用チラシ 昨年から今年にかけて17世紀のオランダ画家ヨハネス・フェルメールの作品7点が、入れ替わりながら合計9カ所の美術館・博物館で順次展示されている。そして静かだが根強い人気に支えられて、多くの来場者が思い思いの感動や感激を秘めながら会場を後にしている。同時にそれらの展覧会とは異なる視点、つまり現存するフェルメールの37作品すべてを350年前の制作当時の色彩を求めて、現寸大の作品に再創作し「フェルメールの作品だけの展覧会」という内容で東京・銀座にて1月から8月まで展示された(『フェルメール 光の王国展』2012.1.22〜8.26)。そして東京地区では多くのフェルメールファンが展示された数点のオリジナル作品(現物)と37点のリ・クリエート作品(再創作)の会場を相互に訪ねながら、フェルメールの世界に浸る納得の機会を得ている。この9月29日からは、人気の「真珠の耳飾りの少女」がついに、神戸市立博物館にやって来る(〜2013.1.6)。
じつは、東京・銀座での『フェルメール 光の王国展』のリ・クリエート作品制作のディレクターを任されたのが昨年7月。制作作業は時間との制約や作品のあるべき方向をめぐって試行錯誤の連続だったことは言うまでもない。フェルメールに関する文献や資料等を紐解きながら当時の制作環境、オランダ国内の生活事情、過去の修復作業に関する数点の記録、絵具の内容の確認等納得のいく再創作への作業にあたった。作業中は当然フェルメール作品の魅力を絶えず意識し続けた。その内容が当時の制作ノートに残る(一部抜粋)。
フェルメール 光の王国展 No.2
PR用チラシ(1)画面はシンプルにして明解。静謐にして柔和。藍、黄、赤が効果的に配置され「三現色効果」が優れた感性を伝えている。(後期作品では藍・黄が強く支配)
(2)光を存分に取り入れながら、光と影のコントラストを巧みに利用し、左右前後の関係を計算しつくした空間表現のなかで「光の効果」を生かしきった表現である。
(3)ラピズラズリの藍を用いたウルトラマリン・ブルーの清々しい魅力的な表現を、あるがままに表現し尽くしている。鑑賞される皆様にも多くの作品を通じて是非、この表現された「フェルメール・ブルーの魅力」を十分に感じていただきたいと思う。
今回、神戸で展示される魅力的な2作品。なかでも人気の「真珠の耳飾りの少女」の止まった時間の中で見つめ続ける瞳、ターバンの魅力的な青、光を当てられた真っ白な真珠、艶やかな唇と修復時に再発見された口元の白い点、光に浮き上がる黄色のターバン。そして背景の暗闇の中に微妙な奥行を表現し続けている黄褐色や緑色の存在が気になる。おそらく、神戸市立博物館で対面されたあなたは改めてフェルメールの虜となり、溜息をつくことになる。その感動の中であなたは何を掴むのか。少なくとも限られたわずかな時間のなかで、見て・感じて・理解して・何かを再認識しながら心豊かなひと時を独り占めにしていただけるだけで幸いである。
2011年 | 3月 〜 5月 | フェルメールとオランダ絵画展 (東京・渋谷) |
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6月 〜 8月 | フェルメールとオランダ絵画展 (愛知) | |
6月 〜 10月 | フェルメールからのラブレター展 (京都) | |
10月〜12月 | フェルメールからのラブレター展 (宮城) | |
12月〜翌 3月 | フェルメールからのラブレター展 (東京・渋谷) | |
2012年 | 1月 〜 8月 | フェルメール 光の王国展 NO.1 (東京・銀座) |
6月 〜 9月 | ベルリン国立美術館展 (東京・上野) | |
6月 〜 9月 | マウリッツハイス美術館展 (東京・上野) | |
9月 〜 11月 | フェルメール 光の王国展 NO.2 (東京・銀座) | |
9月 〜 翌1月 | マウリッツハイス美術館展 (兵庫・神戸) | |
10月〜12月 | ベルリン国立美術館展 (福岡) | |
11月6日~ | フェルメール 光の王国展(広島) | |
12月〜来春 | フェルメール 光の王国(巡回)展 NO.1 (新潟、仙台、福井、熊本、神戸、高知等で予定) |