今までのミュージアム関連の鑑賞歴、接触人脈そして現在のミュージアム支援機会を生かして、様々な視点によるミュージアムの魅力等をご紹介しながら、アクティブシニアの皆様のゆとり生活設計支援ができれば幸いです。
3日間無料入場パス18の表紙・表裏
この7月20日(2016年)に『関西ミュージアム-3日間無料入場パス18-』が新商品として発売された。今回参加のミュージアムは18施設である。この無料パスは始めに入場した日から3日間、何度でも、自由に、待たずに該当の展覧会を鑑賞できる非常に便利でお得なパスで、しかも販売価格は1冊800円。なんと魅力的で、なんとお買い得なパスなのだろうか。まわりの方々から「うっそう! ほんと?」という声が聞こえてくるような気がする。ちょっと、ここだけの話だが滋賀県にある「佐川美術館」も無料であの素晴らしいそれぞれの展覧会(通常料金は各1,000円)が鑑賞できる。大阪・堺にある「堺アルフォンス・ミュシャ館」も兵庫県の「兵庫陶芸美術館」や「西宮大谷記念美術館」も無料である。もちろん現在大好評の「ボストン美術館・ヴェネツィア展」(佐川美術館)も、8月20日から開催の「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」や10月8日から開催の「マリメッコ展」(ともに西宮大谷記念美術館)もどれもこれも、定価800円の『関西ミュージアム-3日間無料入場パス18-』を購入利用すればの話である。
じつは、このパスを発行した「ミュージアムぐるっとパス・関西実行委員会」(委員長:蓑兵庫県立美術館長、副館長:佐々木京都国立博物館長・湯山奈良国立博物館長)は、すでに12年前から「ミュージアムぐるっとパス・関西」を発行し続けている。関西の美術愛好者にはすでに親しまれている1冊であるが、このパスもたいして広告やPRもしていないのに毎年利用者が拡大増加している。とりわけ、毎年発売開始の春先から定期的に購入されるリピーターによって根強く支えられている。しかも、他の地域の文化振興担当者からはそのシステムやノウハウ等の問い合わせが、後を絶たないというパスである。
パリ・ミュージアム・パス
(フランス版)
今回のこの『関西ミュージアム-3日間無料入場パス18-』が発売されたのも、実は昨年10月フランス・パリの美術館巡りの機会に手にした「パリ・ミュージアム・パス」の魅力に憑りつかれ実際に利用しながら便利で、価値のあるその仕組みや利用方法を実地検証したことがスタートである。そもそも従来から毎年発行され続けている「ぐるっとパス・関西」は3か月から6か月の長期にわたって関西またはその近隣にあるおすすめのミュージアム83施設に計画的に好きな展覧会に合わせて訪れていただき、ミュージアムの魅力の再発見をしながら、楽しく10施設を巡ると自動的にスタンプラリーが成立し、もれなく全員に素敵な商品が提供されるという・・・普及版1,000円(またはプレミアム版1,800円)にして、ささやかな楽しみとたくさんの感動に出会えることになる。
しかし、従来の「ぐるっとパス・関西」が利用されてきたのは主に“関西在住者による関西地区のミュージアムの観覧”が中心です。2015年度からは近隣地区のおすすめのミュージアムの参加(今年30施設)により利用範囲も拡大し、大好評をいただいている。ただ、国内外から関西来訪の観光客は大幅に増加してはいるものの、まだ文化芸術での組織的、継続的、能動的な情報発信や受け入れ対応はあまり出来ていない。そして、関西地区に観光・出張・修学等で全国から立ち寄られる方々や海外からの訪日観光客(インバウンド対応)、つまり、国内外からの【短期滞在型】関西来訪の皆様に向けて、フランス・パリと同様に博物館や美術館の価値をアピールをする機会の必要性を感じてきた。
従来のぐるっとパス(2種)
そこで今回 ①国宝や重要文化財を多く所蔵の関西の国立の博物館や美術館全5館の常設展・コレクション展、名品展(5施設) ②価値ある多くの館蔵品や魅力的な企画展・特別展を通じて存分に感動していただける機会を無料で提供可能な公立や私立の美術館(5施設) ③個性ある展示作品や独特の切り口により表現された関西ならではの展示物を鑑賞できる博物館や美術館(8施設) の3つの視点からミュージアムを通じて関西にある文化の一部に触れていただき、関西を理解していただければ・・・との発想が根底にある。
7月20日からの<日本語版>に続き、9月1日からは<英語版>の発行を予定している。今年4月に発売されたソフィー・リチャード著「フランス人がときめいた日本の美術館」の巻頭文に元気をいただいた。昨年10月のオルセー美術館やルーブル美術館で感じた文化の香りにたくさんの刺激を受けた。2005年の故河合文化庁長官の関西文化への指摘が頭をよぎった。当会の委員長や副委員長をはじめ、垣根を乗り越えて支援をいただいている関係者への感謝が続く。このパスを利用された方々からの感想をうかがいたい。そして、欧米の旅行代理店が<英語版>のこのパスを喜んで販売する日をひそかに夢見ている。