コラム「今宵のごちそう」は、シニアの皆様(だけでもないと思いますが)におけるごちそうの意味をちょっと考えるきっかけになればいいなと思って進めてまいります。美味しく、ちょっとだけためになるかもしれません。
高原 純一
食のぐるり株式会社 代表取締役
E-mail : takahara@shokuguru.com
僕は仕事柄農家さんとお話をすることがよくあります。
その時、「うちの野菜は腐らないんじゃ」とよく言われます。
頂いた野菜をほったらかしにしておくのですが、確かに腐りません。ただ、枯れるだけです。でも、同じようにスーパーなどで普通に買う野菜は1週間もすれば腐ってドロドロになります。
何が違うのでしょう?
腐らない野菜を作る農家さんは一様に言います「自然に従って作るといいんじゃ。」
でも、有機野菜や無農薬と謳われているものでも試してみると腐ります。「肥料や土そのものに問題がある。その土地や自然としっかりと向き合って心通わせんと無理じゃ」と言います。
自然にはバランスがあります。悪いものは失くすように、良いものは残すように。悪い野菜は早く腐らせ分解し洗浄する、良い野菜はいつまでも残し生命の営みとして枯れて行く。
今の頭でっかちの栄養学ではなかなか教えてはくれないこと、でも農家さんの体や経験が語る言葉には直感で腑に落ちる真実があります。
農家さんの様にはなかなかいかないかもしれませんが、自然物としての野菜を捉える目や感覚を身につけ磨くことは自然物としての人間ひとりひとりにとってイキイキと生きる上でとても大切なことかもしれません。
写真は「奇跡のりんご」の木村さんのりんごの写真です。腐らず枯れて行きます。
そのためにも自然と枯れて行く自然に沿った正しい野菜を食べる習慣を身につけ理屈ではない感覚を体に養っていくことが重要です。それは表示された栄養素や養分を数値や頭で理解するということではなく、まさに野菜を体で感じるということだと思います。
自然物人間として自然物野菜に対峙する。
何人かの農家さんは言います「野菜の声が聞こえる」と。
僕らも食卓で野菜の声が聞こえるようになると面白いですね。
最も理にかなった健康法が食べるということにはあります。