人間の身体は動物と同じく、冬の間冬眠に備えようとします。出来るだけ身体に養分や栄養を貯めようと働きます。貯めると体内に貯まったものは鮮度が落ちて来て老廃物になりますよね。そうすると身体にとってあまりよくありません。川も流れが悪くなると淀むのと一緒です。
冬に溜め込んだ身体をキレイに春の身体に変えてくれるすぐれもの、それが山菜です。
最近は技術も進み栽培ものの山菜もスーパーに出回っていますが、基本山菜は名前の通り山野に自生する食用の植物のことを山菜と呼びます。人工的に栽培される野菜と違い、また収穫後すぐに鮮度が落ちます。山菜が採れる土地へ出向き土地の山菜料理を頂くか、皆さまお住まいのお近くの市場でお求めになるのがおススメです。最近はネットでも購入出来ますがちゃんとメキキさんのいるところをお選びください。
山独活、蕗の薹、たらの芽、うるい、ぜんまい、ふきなどなど今まさに山菜シーズン。この季節しか食べられないものばかりですのでぜひ楽しんでお試しを。山菜は全国各地で地元山菜が採れますが、特に西は丹波、東は山形、秋田が質量共に豊富。僕は中でも山形の山菜ファンで、その種類1000を下らず。以前、山形へ伺った際に出会った山菜伝道師芳賀さんは、自費で山菜図鑑を出版されその多くの山形山菜を網羅し、自費出版にも関わらず1000部刷った自著が即完売されたそうです。地元はもとより全国の山菜ファンが買い求めあっという間の出来事だったとのこと。ちなみに写真は芳賀さんに東京へお越し頂いて食のぐるり主催で開催した山菜とワインの会の模様です。お着物姿がよく似合われます。
「春の料理には苦みを盛れ」これは有名な春のことわざですが、ことわざは元来生活への教えを説く言葉。春には苦い味すなわち山菜はじめ野草など苦みのある食用植物が溢れて来ます。その苦みを味わうこと、それが身体にも良いしまた食べる楽しみでもあると先人が説いています。僕は大のビール党ですが、ホップの効いたビールの苦みがたまりません。蕗の薹やたらの芽など山菜をビールにあわせると「ああ、春が来た」という感動に満ちあふれて来ます。ホップが採れる場所で地元のクラフトビールと地元山菜の天ぷらで一杯飲った日には至福度が200%まで高まること、間違いありません。
春だからこそ味わえる苦みをぜひ楽しんで、そして冬の身体を春の身体に変えて春を益々謳歌いたしましょう。乾杯!