安全な無農薬栽培、しかも採れたての新鮮な野菜、
そんな理想の食材を使った料理が食べたい。
という思いはあっても、そういう店にはなかなかお目にかかれない。
そこで紹介したいのが、京都は伏見の田園地帯に佇む『Osteria Cafe Agri』。ここではオーナーシェフが自ら農作業に汗を流し育てた、
新鮮な野菜盛りだくさんの料理が味わえるのだ。
脱サラして飲食業に乗り出した井上さん。秋から冬にかけては約30種、管理が難しい夏でも20種の野菜を育てている。カリフラワーとブロッコリーのミックスのようなロマネスコや、白・紫・緑と色味の異なる大根、切り口の紫色が色鮮やかなこかぶなど、店頭ではお目にかかれない野菜も多い。「元々父親が無農薬野菜を販売していたということもあり、父親を手伝いながら野菜のイロハを勉強しました。そうして自分で育ててはじめて、化学肥料と有機栽培の野菜のおいしさの違いに気付きました。よくレストランにサラダバーがありますが、あれって食べても味がわかりませんよね?それはほとんどが冷凍野菜を使っているから。でも多くの方にとってそれが当たり前になっている。ここで採れた野菜なら、すぐ味の違いがわかっていただけます」。また野菜のゆで時間にも違いがあるそう。「うちで栽培してるブロッコリーはだいたい1分半。でも市販のアメリカ産なら4分もかかります。市販の野菜は収穫から店頭に並ぶまで時間がかかるため、その間に傷んでしまわないよう丈夫な品種にされています。流通のために、味や食感が犠牲になっているのかもしれませんね。逆に成長スピードは、化学肥料を使っていないので遅い。ほうれん草だと2倍ぐらい違う。おいしい野菜をつくるには、時間も必要なんです」。
当初はカフェをしようと思っていたものの、野菜のおいしさに触れ、野菜を味わってもらいたいという思いからイタリアンを選んだ。和食の名店、京都吉兆にも野菜を卸している『長澤農園』の野菜づくりに感銘を受け、常に試行錯誤を繰り返す。今ではすっかり野菜マニアだ。「肥料によっても味も変わるので、毎年肥料を変えています。今年のこかぶは特に出来が良く、生で食べても驚くほどおいしい!初めてサラダで出しましたが、お客さんの評判も上々です」。野菜は採れたてだけがおいしいのではない。かぼちゃは夏に収穫して秋まで寝かせることで味が出る。そんな風に野菜のおいしい食べ方を意識しているという井上さん。野菜の味を引き出す料理であれば、イタリアンに限らずおばんざいなど色んな料理に挑戦したいと話す。またゆくゆくは果樹園を増やして、食後のデザートも自家栽培のフルーツでつくりたいとのこと。食材にこだわり、おいしい食事を提供する井上さんのチャレンジ精神は、まだまだ燃え続ける。
営業時間/ | ランチタイム11:30〜14:00 ディナータイム(金土日のみ)18:30〜22:00 |