1日摂取量の基準 : 総脂質の総エネルギーに占める割合(脂肪エネルギー比率)の目安量 :男女とも 18~29歳:20以上30未満% 、30~69歳:20以上25未満%
脂質の主となるのは脂肪酸で、その種類は十数種類あり、その種類によって悪玉コレステロールを増やしたり減らしたり、中性脂肪を減らしたり、作用が異なります(詳しくは脂肪酸の項←後日公開予定を参照)。脂質というと一般に悪者扱いされるイメージが強いのですが、必須脂肪酸が含まれるなどある程度は体にとって必要不可欠な物質であり、その種類と量が問題となるのです。
脂質は1gで約9kcalのエネルギーを生み出す、3大栄養素の中で最も熱量の高いエネルギー源です。体温となったり体を動かすエネルギーとして利用されるのはもちろんのこと、細胞膜やホルモンなど体にとって重要な役割を果たす物質を作り出すのにも欠かせない成分です。また脂溶性ビタミンの吸収には脂質の助けが必要となります。
日常の食事で脂質が不足することはあまりありませんが、過度のダイエット等で極端に脂質の摂取を制限すると、肌がカサカサになったり、ホルモンのバランスが崩れることによって生理不順や不妊症の危険性が高まります。また幼児期に必須脂肪酸(中でもリノール酸)が不足すると成長発育に障害が及ぶ恐れがあります。一方、過剰摂取は、よく知られている通り肥満や生活習慣病を引き起こす原因となります。
脂質もタンパク質と同様に、動物性のものと植物性のものがあり、様々な食品に含まれています。摂り方で注意しなければならないのは、“質”を考えて摂ることです。悪玉コレステロールを減らす作用がある植物性や魚類の脂質を積極的に摂りましょう。青魚(イワシ・サバ・サンマ等)やマグロ、オリーブ油。
肉類 | 魚介類 | 油脂(大さじ1) | |||||||||
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ベーコン 豚バラ肉 豚ロース ソーセージ 牛ひき肉 豚ひき肉 牛バラ肉 コンビーフ |
39.1g 34.6g 19.3g 28.5g 15.1g 15.1g 50.0g 13.0g |
まぐろトロ うなぎ蒲焼き ぶり |
27.5g 21.0g 18.2g |
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菓子類 | |||||||||||
ミルクチョコレート ポテトチップス ハードビスケット アップルパイ ショートケーキ アイスクリーム |
34.0g 35.2g 10.0g 17.5g 14.0g 12.0g |
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ナッツ類 | |||||||||||
くるみ ヘーゼルナッツ ごま アーモンド カシューナッツ |
68.8g 69.3g 54.2g 54.2g 47.6g |
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乳製品 | |||||||||||
クリーム クリームチーズ |
45.0g 33.0g |
現代の食生活は脂質(特に動物性脂肪)を摂り過ぎの傾向にあります。これは肥満や動脈硬化・心筋梗塞・高血圧といった生活習慣病の原因の一つとなります。目安量は個人によって異なりますが、1日に2000kcal必要な方の場合、おおまかな量として揚げ物・炒め物等の調理に使う油を大さじ1杯半程度としましょう(特に脂っこい素材の使用は控えたとして)。コレステロール値が気になる方は、肉の脂身や高脂肪の乳製品を控えて(卵も1日1個程度に)、青魚を積極的に摂る心がけも必要です。
かぼちゃ(50g)をてんぷらにした場合=147kcal
かぼちゃ(50g)を素揚げにした場合=70kcal
鱈(100g)をフライ(衣は小麦粉・卵・パン粉) にした場合=199kcal
鱈(100g)をから揚げ(衣は片栗粉) にした場合=160kcal
生の豚もも肉(100g)の場合=158kcal
豚もも肉(100g)をゆでた場合=116kcal
フライパンにサラダ油大さじ1(13g)を熱した場合=120kcal
フライパンにサラダ油小さじ1(4g)を熱した場合=37kcal
生の牛サーロイン肉(100g)の場合=262kcal
牛サーロイン肉(100g)を網焼きにした場合=214kcal
市販のフレンチドレッシング大さじ1(14g)を使った場合=57kcal
ドレッシング(しょうゆ2:酢1:油1)大さじ1(14g)を作った場合=38kcal
鶏もも肉(皮付き)100g=253kcal
鶏ささみ100g=114kcal