1日摂取量の基準:
目標量 18~69歳男性 :20g 、18~49歳女性 :17g、50~69歳女性 :18g
食物繊維には、水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維があります。共通して言えるのは、大腸まで吸収されずに残り、水分保持力があるので便の硬さを調節し排出させやすくできるということです。不溶性食物繊維は、膨張率が高いので、便量が増え、腸管を刺激し排便を促します。また、不溶性食物繊維を多く含む食品は十分に噛む必要があるため、早食いを防いだり、あごを強くして歯並びをよくしたり、虫歯予防の効果も期待できます。一方、水溶性食物繊維の特徴は、腸管内で粘度の高いゼリー状になって、コレステロールやナトリウムの吸収を抑えたり、食後の血糖値の急激な上昇を防ぐなど、生活習慣病の予防に効果があります。
人間の消化酵素では消化されず、食べても吸収されない成分を食物繊維といい、以前は栄養にならない食べ物のカスとされていました。しかしその後の研究で、有害物質の排泄や腸内環境を整える働きなどが明らかになり、5大栄養素に食物繊維を加えて6大栄養素と呼ばれるまでになりました。主な働きとして、便通を整えたり、有害物質を吸着して排出させたり、腸内の善玉菌の栄養となって腸内環境を整えるなどがあげられます。また、糖質の吸収を遅らせたり、コレステロールの吸収抑制・排出に一役買うなど、生活習慣病の予防改善にも効果があるとされています。
食物繊維が不足すると、便秘になり腸内環境が悪化します。それにより吹き出物といった肌トラブルの原因となります。また、先述の糖質・コレステロール・ナトリウムの吸収抑制や早食い防止などの効果を受けにくくなり、生活習慣病を引き起こす一因ともなります。近年、食物繊維の摂取は大腸がん予防に効果がないとの研究発表がありましたが、有害物質排泄等の働きを考えると、食物繊維不足は何らかの形で大腸がんの発生にも影響を及ぼしているのではないでしょうか。ちなみに摂り過ぎるとビタミンやミネラルの吸収も阻害してしまいますが、通常の摂取では不足傾向ですので過剰摂取の心配をする必要はまずありません。
目安量 男性:18~29歳 :27g 、30~49歳 :26g、50~69歳 :24g
目安量 女性:18~29歳 :21g 、 30~49歳:20g、 50~69歳 :19g
※目安量は最終的な目標としてめざすべき量です。
不溶性食物繊維が多く含まれるのは、穀類、野菜類、豆類です。玄米や小麦フスマ(シリアル等として市販されています)、ゴボウ、さつまいも、こんにゃく、きのこ類、大豆等に特に多く含まれます。水溶性食物繊維は果物や海藻類に多く、りんご、干し柿、わかめ、寒天等に含まれます。また、キチン・キトサンは、カニやエビの殻に含まれる唯一動物性の食物繊維です。
まず、毎食必ず食べる主食から食物繊維を摂りましょう。玄米にするのが理想的ですが、白米に麦を混ぜたり、分づき米にするだけでも効果があります。野菜類は全般的に食物繊維を多く含んでいますので、なるべくいろいろな種類でたくさんの量を食べるようにしましょう。火を通してかさを減らすことがたくさん食べる秘訣です。具だくさんの味噌汁は手軽に作れておススメです。また、大豆の豆臭さが苦手という方はおからでも大丈夫です。そして水溶性食物繊維の宝庫である果物と海藻類は、意識していないとなかなか摂れないもの。それぞれ1日1回摂ることを心がけましょう。