1日摂取量の基準:タンニンの摂取量の基準はありません。
植物に広く分布し、柿やワイン・茶の渋味やえぐ味の原因となるポリフェノールのことです。化学的にはポリフェノールを基本構造として、ポリフェノールオキシターゼにより容易に酸化・重合します。柿にみられる黒い粒粒状のものは鉄イオンと反応した黒色タンニン鉄です。また、タンニンは水溶性でたんぱく質と結合して変性させる作用があることから、動物の皮をなめすのに利用されたり、タンニンの収れん作用は粘膜からの分泌を抑える働きがあるので、止寫薬や健胃剤としても使われます。
タンニンも他のポリフェノール類と同じく抗酸化作用があります。タンニンは、LDLコレステロールと結びついて体外に排出する働きがあることから、動脈硬化・高血圧・脳血管障害などを予防する働きが期待されています。また、柿を食べると悪酔いしないとか二日酔いに効果があるといわれるのは、タンニンが悪酔いの原因物質であるアセトアルデヒドと結合して体外に排出する働きからです。ワインを熟成する際にはタンニンが酸化を防ぐ働きもします。
タンニンの摂取基準、過不足にによる副作用や害というのは特に報告されていません。タンニンは味覚細胞に対して作用して収れん性の強い渋みを感じさせるため、食品の品質低下の要因になることがあります。また、タンニンは鉄などの金属塩と結びつく性質があるため、鉄欠乏症貧血などの治療で鉄剤を服用している人はお茶の摂取などタンニンを多く含む食品を食べる際には注意が必要です。
主な食品は柿・茶・ワインなどです。柿には甘柿と渋柿がありますが、タンニンが口の中で溶けるか溶けないかの違いで、甘柿にも渋抜きした柿にもタンニンを含まれています。甘柿は成長の過程で不溶性のタンニンに変わり、渋抜きした柿はアルコールなどを使ってタンニンを可溶性から不溶性に変えています。
タンニンは水溶性なので、お茶として摂取することで十分な摂取ができます。柿は渋抜きなどで甘くなってもタンニンは残ったままなので、加熱などすると可溶性のタンニンに戻り渋味が戻ることがあります。柿を加熱などするときはタンニンがたんぱく質と結合すると安定する性質を利用して、乳製品や肉・魚といったたんぱく質を多く含む食品と一緒の調理すると渋戻りが防げます。また、渋みの強いワインと脂っこい料理との組み合わせると、タンニンによって口の中の脂を流してくれるといわれています。