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歌舞伎俳優 六代目 中村勘九郎 今年二月に東京新橋演舞場で襲名披露を行った、六代目中村勘九郎さん。関西では、九月に大阪松竹座でお披露目があり、十二月には京都南座で顔見世が行われる。幼時から厳しい歌舞伎の世界に挑んできた彼が、襲名を機にますます飛躍することを期待したい。
六代目 中村勘九郎(ろくだいめ なかむらかんくろう)/1981年、10月31日生まれ。東京都出身。屋号は中村屋。4歳から舞台に立ち、今日に至るまで数々の役に挑戦、毎回大きな評価を得ている。また、活躍の場は歌舞伎のみならず、映画やドラマ、現代演劇など多岐にわたる。2009年に第16回読売演劇大賞 杉村春子賞、2012年に第33回松尾芸能賞 新人賞受賞。そして、2012年2月、新橋演舞場にて六代目中村勘九郎を襲名。
六代目 中村勘九郎インタビュー
恵まれた資質と環境に加え、厳しい修業に全身全力で取組んできた六代目中村勘九郎さん。今年二月に新橋演舞場、三月には東京・隅田公園内の平成中村座で襲名披露興行、九月には大阪松竹座での公演で、彼自身大きな飛躍の時を迎えている。

〝勘九郎〟といえば、彼の父・十八代目中村勘三郎さんが、四十六年間にもわたって名乗り、大きく花開かせた名前である。その名を引き継ぐ勘九郎さんにとって、プレッシャーを感じることはもちろん、大きな喜びであったことだろう。関西で初のお披露目を終え、今後の公演にますます意欲を見せる彼に、改めて現在の心境を伺った。
 
 「大阪での『九月大歌舞伎』では、観客の皆さまに温かいご声援をいただき本当に感謝しています。大阪は父が勘九郎時代から大好きで『東海道四谷怪談』などの芝居をさせていただき、歌舞伎ブームが起きた、思い出の多い場所。〝勘九郎〟という名も大阪の皆さまにとって非常になじみのある名だと思います。ですから、九月公演で再び〝勘九郎〟という名が大阪に戻ってきたのを多くの方に喜んでいただいて、僕自身も大変嬉しかったです。また、十月からは名古屋の御園座で、十二月には京都の南座で吉例顔見世興行があります。こちらにもぜひ足を運んでいただきたいですね。普段の公演と違って、襲名披露の公演は皆さまがお祝いの気持ちで迎えてくれるので本当に温かいんです。そんな幸せムードの中の歌舞伎で、観客の皆さまにも幸せになっていただきたいです」

 彼が抱く歌舞伎への熱い想いは計り知れない。今後歌舞伎俳優としてさらに磨きがかかることだろう。

 「〝勘九郎〟という名を背負っていくことにプレッシャーがないといえば嘘になります。しかしこれからは、僕にしかできない〝勘九郎〟を作っていけたらいいなと。これ以上の〝勘九郎〟はいないって思われるように最大限までがんばります」



 歌舞伎といえば〝難しい〟〝敷居が高い〟と少し身構えてしまう人が多いのではないだろうか。そこで、勘九郎さんに初めてでも歌舞伎を楽しめるコツを聞いてみることに。

 「確かに歌舞伎は、時代背景がわかっていないと難しい演目もあります。ですが、初めての方でもわかりやすく楽しめる演目も多いですよ。歌舞伎鑑賞に関する知識も実際はそんなに難しくはありません。また、劇場によっては〝一幕見〟というお得に歌舞伎を楽しめる観劇形態があるんです。これは、一公演の中にある一幕だけを鑑賞できるという歌舞伎ならではのシステム。通しで見ると4時間くらいかかる歌舞伎でも、一幕見だと、時間もですが、お値段も演目によっては千円台からとリーズナブルです。これなら買い物帰りや食事の前に、立寄り感覚で歌舞伎を観ることも可能ですよね。そもそも、歌舞伎はもっと気軽に楽しめる娯楽なので、かしこまる必要はありません。歌舞伎が初めての方でも映画を観るように歌舞伎を観ていただければと思います」
 
 また、歌舞伎を知ればもっともっとその魅力がわかると勘九郎さんは話す。
 
 「歌舞伎って古典になればなるほどぶっ飛んだストーリーが多い。仇討や情念など話の構成がとても過激なんです。でも、そこがおもしろいんですよ!他にも衣裳の美しさや音楽、さらには匂いまで楽しめるのが歌舞伎なんです。これは来ていただかないと体験できないことなので、劇場でどんどん歌舞伎の魅力に触れてみてください」

 確かに歌舞伎には、華やかな衣裳や踊りはもちろん、語りや三味線などの和製サウンド、さらには舞台が廻ったり花道から役者が飛び出したりと、日本を代表する大スペクタクル・エンターテイメント。そんな歌舞伎ワールドへ、一度どっぷりハマってみるのもいいかもしれない。
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