【第１章　医療保険制度】
　第三回　全国健康保険協会管掌の健康保険とは？

（１）全国健康保険協会管掌の健康保険の概要

　健康保険とは、適用事業所（注）に使用される人（被保険者）とその家族（被扶養者）が業務外や通勤途上以外で病気、ケガ、分娩及び死亡した場合に保険給付を行う制度です。


　つまり、業務中や通勤途上でのケガや死亡等については、健康保険からの保険給付は行われずに、労働者災害補償保険（労災保険）から行われる事になります。
（注）適用事業所：健康保険の適用を受ける事業所のことであり､法律によって加入が義務づけられている強制適用事業所と、任意で加入する任意適用事業所の2種類があります。

　健康保険は、次に示す保険者を全国健康保険協会とするもの（全国健康保険協会管掌（注）の健康保険）と、保険者を健康保険組合とするもの（健康保険組合管掌の健康保険）の2種類があります。

（注）管掌（かんしょう）：自分の管轄の職務として責任をもって取り扱うこと。

　健康保険組合管掌の健康保険（組合健保）は、保険料や保険給付などある程度健康保険組合で決める事が出来るため、ここでは一般的な全国健康保険協会管掌の健康保険についてご説明します。

（２）被保険者と被扶養者

　被保険者とは、適用事業所に使用される人を言い、被扶養者とはその家族を言います。
なお、被扶養者となるためには、年収130万円未満（60歳以上は年収180万円未満）で被保険者（扶養者）の年収の2分の１未満であることが必要となります。

＊＊＊＊少しだけおトク情報＊＊＊＊
知っておられる方も多いとは思いますが、例えばパートの奥様の年収を129万9,999円に調整することで奥様は被扶養者となるため､130万円のパートの奥様と比較すると、年収ベースでは130万円の奥様の方が多いですが、手取り金額は129万9,999円の奥様の方が多くなります。（※2011年12月現在）

（３）保険料

　原則として、保険料は被保険者と事業主2分の１ずつ負担（労使折半）し、事業主が被保険者分も含めて納付義務を負います。なお、40歳以上65歳未満の人は、介護保険料（健康保険料と同様に労使折半）が上乗せされます。

（４）保険給付の種類と内容

　保険給付の種類は下図に示すように、被保険者と被扶養者とで異なります。

　このように保険給付の種類は多いため、これらのうち、被保険者の皆様に知っておいて頂きたい次の４つの種類について、詳しくご説明いたします。
・被保険者の皆様に馴染みが深い「療養の給付」
・被保険者の皆様におトクな「高額療養費」と「高額介護合算療養費」
・被保険者の皆様が病気やケガで会社を休んだ場合の「傷病手当金」

なお、これらの内容は次回にご説明いたします。