奈良市街地の東部に位置するならまち。かつて、奈良時代に人々の信仰の地として栄えた元興寺を中心に広がる地域をそう呼び、現在では風情ある古い町家が軒を連ねている。ならまちは平城京の「外京」にあたり、当時の道筋をもとに発展した長い歴史を持つ町。この日本の懐かしさを感じさせてくれるならまちをのんびりと散策してみよう。
近鉄奈良駅を下車して向かった先は「猿沢池」。ここは、奈良八景のひとつに数えられ、法相宗の大本山として知られる興福寺の五重塔が望める名勝地だ。古の名所絵図のような景観はまさにならまちの絶景ポイント、しばしベンチに腰かけてこの眺めを堪能したい。心癒された後は、餅飯殿(もちいどの)町に訪れ、賑やかな通りを散策。この少し変わった地名はさまざまな諸説があり、その中のひとつには、東大寺の高僧・理源大師が大蛇退治に出かける際、そのお供として遣えたこの町の若者がたくさんの餅や飯を携え、見事に大蛇退治に成功したことによるとされている。江戸時代から栄えた繁華街とだけあって、周辺には奈良の名物「柿の葉寿司」の名店や数々の大仏グッズなど、つい寄り道したくなるような店舗が盛りだくさん。ぶらりと気ままに眺めているだけでも楽しい。
いよいよ世界遺産の「元興寺」へ。こちらは蘇我馬子が飛鳥の地に建てたわが国最古の寺院・法興寺(飛鳥寺)を平城京に移したもの。屋根の一部に法興寺から移されたとみられる瓦が用いられ、今はごくわずかな行基葺きの例を見ることができる。またその周辺には、ならまちの伝統的な町家を再現した「ならまち格子の家」、庚申信仰の拠点となる「庚申堂」、室町時代の様式を伝える「今西家書院」など見どころも満載。さらには、古民家を改築したカフェ・飲食店が多く点在し、歩けば歩く程新しい発見が。また、奈良は清酒発祥の地。老舗酒造や酒問屋でお気に入りの1本を探すなんていう楽しみもある。
ならまちは平城京の遷都から町づくりが始まり、社寺中心の町から商業の町へ、そこから観光の町へとさまざまな変化を遂げた町。そんなたくさんの顔を持つ町並みを歩き名所やお店を巡れば、懐かしい気持ち、時には新鮮な気持ちにさせてくれるから不思議だ。型にはまらずいろいろ混ざり合うからおもしろい、それならこちらも気の向くままにゆっくり散策といこうじゃないか。
一日に約200人が訪れるという、ならまちの観光案内所。社寺などの観光名所のほか、食事処やカフェ、買物スポットなどの情報を得ることができる。館内では、奈良県産の特産品も販売。レンタサイクル(1時間200円〜)や、ならまちの魅力をより深く体験できる「オプショナルツアー」も企画している。ならまちを満喫したいという方は、気軽に相談してみて。
奈良市郊外にある農家レストラン「清澄の里 粟」で栽培した大和野菜をはじめ、鎌倉時代から銘牛とされる大和牛が味わえる人気店。初めて出会う素材も丁寧に説明してもらえ、その美味しさに感動は必至。必ず予約を。
ならまちの顔として人気のカフェ「カナカナ」の2号店。広々とした空間でいただけるのは、自家焙煎のコーヒーと優しい味わいのスイーツたち。また店内の小屋には、オーナー自らが買いつけてきたというロシア&東欧の雑貨が並び、掘り出し物を見つけるのも楽しい。
創業明治初年という歴史ある酒問屋。国登録有形文化財に指定されたお店では、奈良の銘酒をはじめ、みりんや手作り醤油などを販売。また軒先では、元興寺を愛でながら気楽に飲めるスペースも。
大正10年の創業以来、奈良特産の蚊帳生地を扱う老舗店。吸水性に優れたならまちふきん400円〜や独特な風合いの暖簾7,350円~など、色彩豊かな品々が揃い、おみやげとしても人気。
奈良県で約300年の歴史を持つ「中川政七商店」が展開する“日本の土産もの”がコンセプトの雑貨店。鹿や大仏など奈良モチーフのオリジナル商品が並ぶほか、奈良の伝統工芸品もお目見え。その時季ならではのアイテムも登場し、豊富なラインナップが嬉しい。
自家製酵母と国内産小麦で作られた安心で美味しいパンを提供。かみごたえのあるハード系パンをはじめ、どれも素材の良さが感じられる。イートインコーナーもあり。
観光地としてはもちろん、市民の憩いの場としても利用されるスポット。もとは興福寺の放生池として造られたといわれている。
間口が狭く奥行きの長い、昔ながらの町家をモデルにした施設。訪れると格子の持つ役割も理解できる。
日本最古の寺院・飛鳥寺(法興寺)がその前身。1998年に世界遺産「古都奈良の文化財」に登録され、国宝の極楽堂や禅室などは貴重な遺構に。
ならまちを歩いていると、よく見かけるのが大仏グッズ。普段使いにできる日用品から味にこだわるスイーツまで、いろいろな大仏さまが町の中で顔をのぞかせる。おしゃれでかわいいデザインは幅広い層に人気なのでおみやげとしてはもちろん、自分用としても買って帰りたい。
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