園芸TOP >  > 第10回「石灰資材の使い方」

第10回 「石灰資材の使い方」

雨の多い日本の土壌は、カルシウム分が雨で流され、土が酸性になりやすい傾向があります。ほとんどの野菜は弱酸性から中性の土壌を好むので畑にあらかじめ石灰資材を施して、土壌の酸度を調整する必要があります。
石灰資材は、タネまきや植え付けの2週間前までに施用します。畑にまいて、しばらくそのままの状態にする人が多いですが、石灰の塊が出来てしまい根に直接触れると障害を起こします。石灰資材は、空気や水に触れると固まってしまうので、散布したらすぐに耕すようにします。とにかく土にまんべんなく混ぜ込むことが大事です。おすすめの石灰資材は、カルシウム分とマグネシウム分が入った苦土石灰で、両方の効果が期待できます。
肥料は7〜10日ぐらい前に施用します。粒状の肥料は、温度にもよりますが溶けて効き始めるのが1週間ぐらいかかります。石灰と一緒にまく人もいますが、その際に化学反応を起こす場合もありますので石灰をあらかじめ施用してから、1週間ぐらいの間をあけて肥料を使うようにしてください。

■pHに対する反応

pHに対する反応 pHの目安 野 菜
酸性に弱い
(石灰分を好む)
6.0〜7.0 ホウレンソウ、ビート、タマネギ、トウガラシ、ゴボウ、
アスパラガス
酸性にやや弱い
(石灰分をやや好む)
5.5〜6.5 キュウリ、ナス、トマト、ニンジン、エンドウ、キャベツ、
ハナヤサイ、ブロッコリー、セルリー、レタス、メロン
酸性にやや強い
(石灰分は好まない)
5.5〜6.0 サツマイモ、サトイモ、パセリ、トウモロコシ、インゲン、
ダイコン
酸性に強い
(石灰分はほとんど
必要ない)
5.0〜5.5 ジャガイモ、スイカ

■酸性が強い土壌

アルカリ分が多く、速効性のある生石灰(発熱するので注意)や消石灰を使います。散布したらすぐに土とよく混ぜ、作付けまで2週間はあけます。ガス害防止のためチッソ肥料や堆肥と同時に施用しないようにしましょう。

■少し酸性が強い土壌

苦土石灰や炭酸カルシウムなどを使います。これらの石灰資材は、すぐに溶けないので速効性はありませんが、植物の根を傷めるといった障害をおこすことは少ないです。効果が現れるまでに時間がかかるので、早めに施用するようにします。

■効果を長持ちさせたい場合

貝化石やカキガラを砕いた有機石灰を使います。粒の大きなものほど長持ちします。ただし天然素材なので、アルカリ分の含量は一定ではありません。

■石灰の性質

種 類 生石灰 消石灰 炭酸カルシウム 苦土石灰 貝化石 カキガラ
アルカリ分 80%以上 60%以上 53%以上 53%以上 40〜45% 40%
反応の強さ
施す目安(g/m²) 120〜180 150〜220 200〜300 200〜300 240〜350 240〜360

(タキイ種苗 奥本和夫)

新規会員登録

全国のあすたいむ倶楽部