農家さんの間では“苗半作”という言葉がありますが、苗づくりがうまくいけば栽培は半分成功したようなものです。苗を育てるということは、各作物の発芽に適する条件や性質を十分理解し、資材等を適切に利用して、品目にあわせた管理をすることが必要になります。
“育苗”とは、幼い植物を苗床で管理することにより、畑で植え付けから収穫までの日数を短縮でき、育苗の期間だけ前作の収穫期間を延長できます。また育苗により軟弱な幼苗期を気象災害や病害虫などから守り、苗を一括に管理することにより作業の効率化や温度調節が行いやすいなどのメリットがあります。育苗は、色々な技術が確立しており自分が栽培しやすい方法を選ぶことができます。
畑などに育苗のスペースを作り、直接タネをまく方法。資材などをほとんど必要としないがビニールや寒冷紗、防虫ネットなどでトンネルを使い育苗すると、良質の苗が生産できます。苗を掘り取る時に断根しやすいため、発根力の強いキャベツやネギなどが適しています。
プラスチック製や発泡スチロール箱、木箱などに培土をつめて育苗する方法。タネの小さいものや草花などでよく利用されます。ある程度の大きさになるとポットへ移植したり、そのまま畑に定植します。根が比較的広く張るため管理しやすいですが、移植時に根傷みを起こしやすくなります。
ポリフィルムやプラスチック、紙などで作られたポットに培土をつめて育苗する方法で、「ポリ鉢」がよく使われています。ポットに直接タネをまいて育苗したり、果菜類ではセルトレーで育苗したものを移植する方法もあります。セルトレーに較べて培土の量が多くなりますが、家庭菜園で利用しやすい育苗方法です。
もともと小面積で大量の苗を効率よく育苗するために開発されました。セルトレーは根鉢が一定の形になるよう作られたもので、プラスチックなどが使われており、72、128、200穴のものがよく利用されています。培土はバーミキュライトやピートモス主体のセルトレー用を使い、肥効が2週間程度の短いものから1カ月ぐらいのものまであります。トレーの穴が小さいので、土が乾きやすいことや生育のムラが出やすいこと、育苗適期をすぎると苗の老化が進みやすいなど注意する点もあります。
(タキイ種苗 奥本和夫)
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