稲荷といえば、伏見稲荷大社。全国に3万社あるといわれる稲荷社の総本宮です。トリップアドバイザーで外国人が訪ねてみたい場所2年連続一位になったこともあり、外国からの観光客も多くまた、商売繁盛の神としても信仰されていることから、スーツ姿の参拝客もよくみかけます。
焼き鳥(すずめやウズラは少なくなりました)や鰻のかば焼きの香りがたちこめ、キツネの面のせんべいや大社に納める大小様々な鳥居など伏見らしい店が軒を並べる参道を歩いて、豊臣秀吉が造営したと伝えられる朱塗りの楼門を抜け、本殿へ。
秀吉の母・大政所が病気になった時、秀吉は稲荷大社に「大政所が全快すれば、1万石の所領を寄進する。3年でも命がのびるなら延ばしてほしい。3年がだめなら2年、2年がだめなら30日でも」と祈願したとか。秀吉が母の病気平癒を祈願して寄進した楼門や、“命乞いの願文”が伝来しています。
「楼門」の前や「本殿」の前などには、阿吽の狛犬のかわりに、狐の像が置かれ、独特の雰囲気を醸し出しています。
「稲荷造」と呼ばれる本殿は、 “懸魚”の金覆輪や“垂木鼻”の飾金具や“蟇股”等、安土桃山時代の特徴が見られます。
本殿から奥の院へ。真っ赤な鳥居のトンネルが続く「千本鳥居」。伏見稲荷ならではの光景が続きます。鳥居を抜け、奥社奉拝所の右奥にあるのが「おもかる石」。願い事をひとつ想い、石を持ち上げて軽ければその願いがかなうとか。それぞれの願いを胸に参拝者の列ができています。
伏見稲荷大社の本殿裏、稲荷山は稲荷神の降臨地といわれ、その峰々を巡拝することを「お山めぐり」といいます。お山めぐりは、稲荷山を巡拝すると約2時間かかります。奥社から熊鷹社を過ぎ、緩やかな坂道を登っていくと、稲荷山の山頂の一ノ峰・四ツ辻に着きます。ここは、眼下に京都の町をみはらせる絶景のポイントです。
四ツ辻で休憩してから、眼力社、御膳谷など多くの塚を参拝しながら山頂へ。稲荷山には18の峰と20余りの谷があり、鳥居・伏見稲荷大社の末社・お塚などが各所に点在しています。
そのひとつ薬力社は、薬いらずで健康を守るご利益があり、薬力社近くの薬力の滝は薬の効き目をよくするといわれています。薬力社の次は眼力社。飛翔するような白狐が目印です。
山に入れば入るほどちょっと独特の雰囲気が漂います。時間と体力があれば、是非、挑戦してみてください。
桂川、宇治川など主要な河川が流れ、京都と大阪を結ぶ中継地として栄えた伏見。その基盤をつくったのが豊臣秀吉です。秀吉は、伏見城を築き、淀川を巨椋池から切り離し、城の外濠(濠川)としました。
伏見は「伏水(ふしみず)に由来した地名で、豊富な地下水に恵まれ、日本有数の酒処としても知られています。酒蔵の多くは、この濠川に接して建てられ、明治の終わり頃まで、米・薪炭・樽材などの原材料がこの濠川を上下する十石船で運ばれていました。今では、川から見る酒蔵の風景を楽しむため、春から秋にかけ、伏見港公園と月桂冠大倉記念館の南側で十石船が運行されています。
月桂冠大倉記念館は、寛永14年に創業した老舗の蔵元・月桂冠の酒づくりの歴史を紹介展示する施設。見学の後にはお楽しみの試飲が楽しめるほか、お土産に日本酒や酒粕、なら漬けなどが販売されています。
月桂冠大倉記念館から酒蔵の風景を楽しみながら歩いて行くと、寺田屋の看板が。建物の前には、寺田屋騒動跡を解説する看板がありました。江戸から明治へとかわる激動の時代、尊皇攘夷派の先鋒であった薩摩藩士らが殺傷された事件。寺田屋は坂本竜馬の定宿でもあったため、エピソードも多く、竜馬ファンが訪れます。近くの商店街には「竜馬通り商店街」の看板があがっていました。
周辺には、坂本竜馬ゆかりの場所など、幕末から明治維新にかけて史跡や、菜の花畑が印象的な新高瀬川沿いの松本酒造などの見所があり、まちあるきを楽しめます。
近くには名水「閼伽水[あかすい]」が湧く長建寺や同じく名水「御香水」で知られる御香宮神社など、水に関わる場所も多く、酒造りのまちというのも納得です。
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