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歴史コラム

Presented by 歴史街道推進協議会歴史街道

第80回 歴史街道「平安・室町時代ゾーン」

桓武天皇の時、都は平城京から長岡京を経て京都・平安京へと遷った。ここから平安時代が始まり、勢力を強大にした藤原氏を中心に華やかな貴族文化、王朝文化が栄えた。仏教も盛んになり京都に大寺院が建立され、和歌や源氏物語、伊勢物語などの文学も華開き、名作が今日に伝えられた。
武家の台頭により政治の中心は朝廷から武家に移り、鎌倉時代を経て室町時代に入り、舞台は再び京に戻った。金閣寺を中心にした北山文化、銀閣寺を中心にした東山文化に代表されるのが室町文化。
平安から室町時代にかけ、政治的には兵乱が絶えない不安定な時代だったが、文化的には日本文化の基礎が築かれた時代で、現代文化の多くはこの時代に育まれた。


吉田神社

吉田神社斎場所大元宮
吉田神社斎場所大元宮

京都大学の東、標高約100mの吉田山の西側山麓にある吉田神社。859年中納言藤原山蔭(ふじわらのやまかげ)が祖神である奈良・春日大社の四神を勧請し、平安京の鎮守神として祭ったのが起こり。境内には春日造りの本殿をはじめ舞殿、直会殿(なおらいどの)や摂社、末社などが建ち並んでいる。創建当時から天皇の信仰の篤い神社だった。
1469~1487年に神職の吉田兼倶(よしだかねとも)が吉田神道を創設した。その根本道場が末社のひとつ斎場所大元宮(さいじょうしょだいげんぐう)。朱塗りの本殿は八角形の建物で、その後ろに六角形の祈とう所がある風変わりな様式。これら特殊な形体はすべて吉田神道の原理に由来したものと言い、国の重要文化財となっている。毎年、節分には厄除け祈願が行われ、吉田詣(もうで)と言われ、多くの参詣者でにぎわう。


皇室の菩提寺

泉涌寺仏殿
泉涌寺仏殿

泉涌寺(せんにゅうじ)は別名「御寺(みてら)」とも呼ばれている。824~834年に空海がこの地に草庵を結んだのが起こりで、法輪寺と名付けられ、後に仙遊寺と改められたこともある。一時、荒廃していた寺を中国・宋から帰国した月輪大師(がちりんだいし)が1218年に再興した。諸堂の落成のとき、境内から泉が湧き出たので泉涌寺と改められた。この泉は今も清らかな水が湧き出ている。
徳川家綱によって再建された重層入母屋造りで国の重要文化財の仏殿は唐様建築の代表作と言う。
楊貴妃観音堂の楊貴妃観音座像は、玄宗皇帝が亡き妃の冥福を祈って彫らせた像と言われ、宋から日本へ持ってこられた宋様式寄木造の等身像。美人の代表と言われる楊貴妃像だけに人の心をとらえて離さない。 1242年、四条天皇が泉涌寺に埋葬されてから歴代の天皇、皇后、親王がこの寺に葬られることが多くなり、皇室の香華院(こうげいん)として信仰を集めた。ここから「御寺」の呼び名が生まれた。境内奥に四条天皇ら12人の天皇の月輪(つきのわ)十二陵、後光厳天皇ら3人の天皇の泉涌寺陵、光格天皇ら2人の天皇の後月輪陵、孝明天皇の後月輪東山陵、英照皇太后の後月輪東山東北陵などがある。


楊貴妃観音堂
楊貴妃観音堂
楊貴妃観音像
楊貴妃観音像

名の由来は応仁の乱の西軍本陣

西陣織物
西陣織物

京都を代表する織物が西陣織。京都市上京区の堀川以西、一条通以北一帯を西陣と言い織物業者が集中している。西陣には最盛期の江戸時代のような繁栄ぶりはないが、今も「ガチャン、ガチャン」と織機の音が聞こえてくる。
西陣は室町時代中ごろの応仁の乱の時、西軍の山名宗全がこの地に陣を置いて戦い、西陣と称したのがそのままこの地一帯の呼び名になった。ここで織られる織物が西陣織と呼ばれ、高級織物の代表になった。戦後、洋服の普及で西陣織は斜陽化したが、ネクタイ、ショール、和装小物などの材料やインテリア用品などに活路を求め、伝統産業を守り続ける努力を重ねている。
5、6世紀ごろ大陸から渡来した新羅系秦氏の一族が山城の国に住み、養蚕と絹織物の技術を伝えたのが西陣織の始まり。平安時代、織部司(おりべのつかさ)を置き、高級織物の生産を国の管理下に置いた。織物の職人たちも現在の西陣周辺に集まり“織部町”を形成した。
前もって染めた糸を横糸に使って、色柄や模様を織り出す紋織の技術を確立し、高級絹織物の西陣織の基礎が築かれた。何千本もの縦糸を複雑に上下させ、様々な色の横糸を1本、1本通して織り上げる西陣織には、複雑な工程と職人の高い技術力が必要とされる。
西陣織会館では、西陣織のすべてがわかる総合展示場や手機を使った西陣織の実演などが行われている。着物や帯、ハンドバック、ネクタイ、財布など西陣織の展示即売もされている。


仏の声、梵鐘(ぼんしょう)


神護寺山門

平家物語の有名な一節に「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」とあるように、梵鐘は寺院とは切っても切れないものとされている。梵鐘の各部分は仏の体の各部と対比され、その音は仏の声と言われている。人間の煩悩を取り除く除夜の百八つの鐘も、鐘の功徳を現したものだ。
梵鐘は銅と錫の合金の青銅によって作られる。銅と錫の混合の比率や形、厚みなどによって鐘の音が微妙に変わり、これが梵鐘の良否を決定する。
日本最古と言われる国宝の妙心寺の鐘は奈良時代の鋳造で、その音色が黄鐘調(おうしきちょう)として知られ、名鐘とされている。ほかにも同時代のものとして東大寺、興福寺、当麻寺の鐘、平安時代のものとして京都の神護寺、平等院、奈良・五條の栄山寺の鐘が国宝に指定されており、名鐘として知られている。



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