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歴史コラム

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第64回 日本庭園の変遷を巡る⑥(室町時代/鹿苑寺庭園)

西芳寺瑠璃殿をモデルとした金閣

金閣寺の通称で有名な鹿苑寺は、室町幕府3代将軍であった足利義満の北山殿(北山山荘)がその死後に相国寺系の禅寺となったもので、その前身は、鎌倉時代初期、景勝地として知られる北山の衣笠山麓に西園寺公経(さいおんじきんつね)が造営した北山第(きたやまだい)である。
1397年、義満は領地交換により西園寺家からこの北山第を譲り受け、北山殿を造営した。西園寺家時代には浄土式庭園があったと思われるが、義満はそれを西の衣笠山を借景とした禅風の池泉回遊式の庭に改造した。
金閣はどこから見ても視線がそこに吸収されるような存在感を放っている。平安時代の「寝殿造り」を継承した住宅様式の一層、書院造り風の二層、そして花頭窓を配置した唐様仏間の三層で構成される金閣は、敷地内に本来別々に配置されるべき機能の空間を、一か所で縦方向に積み重ねた建築様式「楼閣」の最初期の例であり、無窓国師が建てた西芳寺の重層の楼閣・瑠璃殿をモデルにしたものであったという。建物の内外に金箔を貼った3層の楼閣建築である舎利殿(お釈迦様のお骨を収めるところ)は、江戸初期以降その姿から金閣と呼ばれている。池に臨んで建つ金閣は、庭園景色の焦点となるとともに、西芳寺瑠璃殿と同様に、庭園ないしは園外の眺望を楽しむという機能を併せ持つ。
鎌倉時代初期の歌人で「新古今和歌集」の選者の一人でもあった藤原定家の日記や室町時代初期に書かれた歴史物語「増鏡(ますかがみ)」などに、北山第が眺望にも優れた鎌倉時代初期における屈指の名園であると記述されている。

迎賓館としての金閣

金閣の北面には一階と二階に窓がひとつも見当たらない。これは何故だろうか。義満は臨済宗相国寺の実質上の開山である春屋妙葩(しゅんおくみょうは)や、中国・元から帰朝した禅僧から儒教と禅宗を学んだ。義満が将軍になった1368年、中国で漢民族による明が建国されると、北山殿の造営と同時に使節を送り、中国関係の再構築を始める。
金閣は明使節の迎賓館として意図されており、たびたび訪れた明の使節を引見したのはこの北山殿であった。義満の時代、金閣は単独の建造物ではなく、その北側には二階建ての会所である「天鏡閣」という別の建造物があり、中国の宮殿の形式に倣って両者は二階建ての廊下(複道)でつながっていた。義満の死後、金閣北側にあった天鏡閣は南禅寺に移築され、繋ぎ廊下も撤去された結果、今の金閣北面の壁面のみの状態となっている。

上下二段の庭園構成


金閣と鏡湖池

葦原島北面三尊石

北岸に金閣を置く池は鏡湖池(きょうこち)と呼ばれ、東西約100m、南北約90mに広がり、西園寺家の北山第の池を改修したものと見られている。池には鶴島、亀島などの大小の中島のほか、奇岩名石が数多く配されている。義満の時代、池は今よりもさらに広かったとされる。金閣の正面にある大きな島は葦原島といい、日本を象徴している。北面に組まれた三尊石(さんぞんせき)は、西芳寺の石組を手本にしたもので、南面にも同じような石組がある。島の西端に組まれた石は細川石といい、時の管領細川頼之の寄進によるもの。
人工滝「龍門瀑」は金閣の北側背後に組まれていて、豊富な水が鯉魚石(りぎょせき)頭部に落下し、石に躍動感が生まれている。水面上に身を乗り出し、今まさに滝上りに挑戦しようとする姿を表現している。
鏡湖池の上段にある安民沢(あんみんたく)と呼ばれる池は、山からの湧水をたたえ、鏡湖池の水源ともなっている。金閣寺は鏡湖池とこの安民沢で、地形的に上下二段の庭園構成となっている。
近年の調査から、安民沢の護岸は立体的な庭石ではなく扁平な「玉石」を敷き詰めた「洲浜」だったことや、池の一帯から鎌倉時代の瓦も地表で採集されていることから、この池が鎌倉時代の西園寺家「北山第」の庭園がほぼそのまま残ったものであると推測されている。また、池に浮かぶ中島をも併せて見てみると、極楽浄土を希求する末法思想が流行した平安時代中期以降、日本各地に広まった庭園様式「浄土式庭園」が浮かび上がってくる。
鹿苑寺は応仁の乱で荒廃。その後、江戸時代初期に建物や庭園の大修理が行われ、現在見る姿はこの時の改修によって創出された部分が少なくない。
舎利殿は室町時代前期の北山文化を代表する建築であったが、1950年(昭和25年)に放火により焼失し、5年後に再建された。1987年(昭和62年)、漆の塗り替えや金箔の張替え、更に天井画と義満像の復元が行われた。2003年(平成15年)、屋根の吹き替えが行われ、現在に至っている。


安民沢の池と中島

龍門瀑の鯉魚石



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