1日摂取量の基準:推奨量 成人男性:1.4mg、成人女性:1.2mg
上限量 成人男女とも:60mg
月経前にイライラや頭痛、だるさなどが症状として表れる月経前症候群(PMS)は、排卵期に出されるホルモンがアミノ酸の代謝を促進させ、ビタミンB6が大量に消費されるのが原因ではないかと考えられています。実際、月経前症候群(PMS)患者にビタミンB6を投与したところ、症状が改善したとの報告もされています。また、妊婦にビタミンB6を投与するとつわりが軽減したとの報告もあり、つわりとビタミンB6も何らかの因果関係があるのではないかとされます。ただし、つわりのメカニズム自体は解明されておらず、重症のつわりの場合に効果が見られやすいだけとの見方もあるのが現状です。
ビタミンB6はたんぱく質の分解とアミノ酸の合成に必要な酵素の、補酵素として働きます。つまり、たんぱく質の代謝には欠かせない物質なのです。皮膚や粘膜といった体の組織、ヘモグロビン、抗体、神経伝達物質といった体にとって必要なさまざまなものは、すべてたんぱく質から成っていますので、ビタミンB6が関与していることになります。つまり、免疫力を高めたり、神経の働きを正常に保つためにもビタミンB6が必要となるのです。また、たんぱく質がエネルギーとして利用されるときにも補酵素として関わります。
ビタミンB6は腸内細菌からも合成されるので、一般的には不足することは少ないと言われています。しかし、抗生物質を長期服用している方や経口避妊薬を常用している方は欠乏症に注意が必要です。欠乏の症状としては、目・鼻・口の周りの皮膚炎や、口内炎、湿疹などのほか、貧血、脂肪肝、けいれんなどがあります。一方、通常の過剰摂取分は尿中に排出されるため、まず心配ありませんが、薬やサプリメント等で長期間大量のビタミンB6を摂取した場合、感覚神経に障害が出るとの報告がされています。
多くの食品に含まれていますが、カツオやマグロ、サケ、サンマといった魚類や、レバー、赤身の肉類、さつまいもやバナナには特に多くのビタミンB6が含まれています。スポーツをしていて、たんぱく質を多く摂る方にとって、バナナはエネルギー源としてだけでなく、たんぱく質を有効利用するためのビタミンB6源ともなるのです。
ビタミンB6が活性型に変わるためにはビタミンB2が必要となるように、ビタミンB群は相互に関わりあっています。ビタミンB2の不足はビタミンB6の不足へとつながります。ですから、ビタミンB6を摂取したい時には、ビタミンB2を一緒に摂るように心がけましょう。複数のビタミンを合わせて摂ることがより高い効果を得られるようになるのです。