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第10回「チューリップ」

チューリップは日本でもっともポピュラーな、春を代表する花の一つです。多くの人が子どものころ、鉢やプランターに球根を植えた経験があるのではないでしょうか?
チューリップは、中央アジアから北アフリカにかけて分布している球根植物で、100種以上の原種が知られています。原種の種類が多く、園芸植物として昔から重要視されていたこともあって、品種改良が進み、さまざまな花色と花形をもつ数千種の園芸品種が作り出されています。
そんなチューリップの植え付け時期がいよいよやって来ました。露地やプランターで上手に育てて、春には元気を届けてくれるチューリップを咲かせてみましょう!

■球根の選び方

よい花を咲かせる第一歩は、よい球根選びから始まります。芽や根の出る部分が腐ったり傷がついたりしていないか、カビが生えていないかなどチェックし、大きくてかたく重い球根を選びましょう。
店頭で日が当たる場所に置かれているものは避けるようにします。購入してから植え付けるまでに期間がある場合は、乾燥した涼しい場所で管理します。

〜露地植えの場合〜

■植え付け

寒冷地では、本格的な寒さが来るまでに根が張れるよう10月上旬から11月上旬、一般地や暖地では、早く植えると暖かくて腐ってしまうことがあるので10月下旬から12月下旬までに植え付けるとよいでしょう。
植え付け場所は、半日以上日が当たり、風通しがよく、水はけのよい所が適しています。また、冬から春にかけて日が当たる落葉樹の下などでも楽しめます。
あらかじめ腐葉土か堆肥に、苦土石灰、緩効性の化成肥料を入れ、深さ30cm以上耕しておいた場所に、10〜15cmの間隔で球根の3倍の深さに植え付けます。

■管理

冬の間、地上部の変化はありませんが、地中では根が活発に動いています。寒い時期でも雨が降らない日が1週間ほど続いたら、水をやります。冬季に水切れを起こすと蕾のまま花が開かなかったり、花茎が伸びずに咲いてしまうので気をつけましょう。

■開花

チューリップ開花期は、系統によって早~晩品種にわかれ3~5月になります。

<系統による開花期の違い>

早生咲きグループ

3月下旬〜4月上旬にかけて花を咲かせるグループで、気温がまだ十分に高くないので比較的長期間花を楽しむことができます。

フォステリアナ系「スイートハート」(F)

●一重早生咲き系 (SIngle Early:SE)
草丈が20〜25cmと低いのが特徴で、コンパクトな花姿をもち、花壇の前列や縁取りとして楽しむのに適しています。
●八重早生咲き系 (Double Early:DE)
一重早咲き系と同じ草丈が20〜25cmと低いのが特徴ですが、花色が豊富で華やかな花姿をもち、開花期も比較的長いので、4月上旬のアプローチ花壇などに利用できます。
●フォステリアナ系 (Fosteriana:F)
一重咲きで草丈は25〜35cmとやや高めです。花も大きく、早生咲き系の寄せ植えのメインとして利用できます。開花期は4月初め。

中生咲きグループ

4月中旬に花を咲かせるグループで、公園などの大規模花壇でよく利用されているほか、切り花で利用されるものも含まれています。

グレイギー系「メロディ・ドゥ・アモーレ」(G)

●トライアンフ系 (Triumph:T)
一重咲きで草丈は50〜60cmのものが多く、豊富な花色をもちチューリップらしい形のよい花を咲かせます。配色を楽しむのには最適です。
●ダーウィン・ハイブリッド系 (Darwin Hybrids:DH)
一重咲きの大輪品種群で、草丈も60〜70cmと高めなので存在感はありますが、花色がやや少なく、盛りを過ぎると花形が乱れやすいので花を長く楽しむためにはやや不向きです。
●グレイギー系 (Greigii:G)
一重咲きで、草丈は30cm前後と中生咲きの中ではやや低めです。尖った花弁の特徴的な花を咲かせるので、花壇にアクセントをつけるのに利用するとおもしろいでしょう。

晩生咲きグループ

4月下旬〜5月上旬に花を咲かせるグループで、花色だけでなく花形の変化に富む品種が多く、比較的草丈も高いので、さまざまに楽しむことができます。

ユリ咲き系「バレリーナ」(L)

●一重晩生咲き系 (Single Late:SL)
花は大輪で草丈も40〜60cmと高く、ボリュームのある花壇づくりが楽しめます。盛りを過ぎても花形があまり乱れません。
●ユリ咲き系 (Lily-flowered:L)

花弁が細く先が尖り、ユリの花に似た美しい花形をもちます。草丈は50〜60cmのものが多く、花茎が細く曲がりやすいものがあります。

●フリンジ咲き系 (Fringed:Fr)
花弁の縁が細かく切れ込んだ、やわらかで雰囲気のある花形をもちます。草丈は40〜60cmと高めで寄せ植えのアクセントに最適です。
●ヴィリディフロラ系ーグリーン咲き系 (Viridiflora:V)
一重咲きで花弁の中央に緑色の縦縞が入る個性的な花色をもち、配色に変化をつけるのに効果的です。草丈は品種によって異なります。
●パーロット咲き系 (Parrot:P)
花弁の縁が切れ込み、フリル状に波打つ個性的な花形をもち、草姿がやや乱れやすいので、組み合わせるのに注意が必要です。
●八重晩生咲き系 (Double Late:DL)
花弁の多い豪華な花を咲かせ、開花期も比較的長いので、花を長く楽しむためには欠かせません。花茎が丈夫で高さは30cm以上です。

■開花後

花が終わったら早めに子房ごと摘み取ります。落ちた花弁は病気の原因になることがあるので拾いましょう。そして緩効性肥料を与え、球根を太らせます。葉は球根に養分を蓄えるために必要なので、切り取らないようにしましょう。

■堀り上げ

葉が黄変したら土が乾いた日に掘り上げます。土を落としてから風通しのよい日陰で乾燥させた後、枯れた茎葉や古い球根を取り除き、網袋に入れて風通しのよい日陰で管理します。

〜コンテナ植えの場合〜

■植え付け

根が十分張れるように、なるべく深い鉢を選び、浅植えで球根の頭が土に隠れるくらいの深さに、球根1個から1個半の間隔で植え付けます。用土は元肥の入った市販の草花用の培養土を用いると便利です。自分でブレンドする場合は、水はけと保水性がよくなるようにし、元肥としてリン酸の多い緩効性の化成肥料を加えましょう。

■組み合わせ

コンテナの小さな空間でも、組み合わせ方によりさまざまな表情を楽しむことができます。また球根を植えると、芽が出るまでの期間、水やりを忘れてしまうことがあります。これを防ぐためにも、ビオラなどの一年草と組み合わせて植えることをおすすめします。

■管理

日当たりのよい場所に置き、年内は寒さに当てるようにします。用土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出すくらいたっぷり水をやります。冬場も忘れないように気をつけましょう。
開花後の管理、堀り上げ、貯蔵に関しては、露地植えを参考にしてください。

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