ダリアは、その色彩と花形の豊富さで多くの人を魅了しています。開花期間が長く夏から秋まで花壇の主役として活躍してくれるというのも、人気の大きな理由でしょう。そして、次々に創出される新種のダリアが人々の関心を呼び、目を引き付けています。今回は、そんなダリアの魅力と栽培の仕方をご紹介します。
メキシコの高原を原産地とするダリアは、冷涼で日当たりがよく、湿気を保ちつつも排水のよい土壌を好みますが、日本全国、工夫次第でどこでもよい花を咲かせることができます。
第一条件として排水をよくすることが大切です。天候はその年によって異なりますが、気温の高い地方ではマルチングや遮光ネットなどを使用し、散水によって高温から守ります。また、風通しがよくないと、病害虫が発生しやすくなるので注意が必要です。
寒冷地では、遅霜の心配がなくなる5月初旬〜6月下旬が植え付けの適期で、早いものは梅雨時に開花し、秋と同様冴えた花を咲かせます。
暖地では、3月中旬と6月の二度、植え付け期があります。3月の早植えにすると、5月下旬〜6月に開花がみられますが、夏場、急激に生育が衰え、切り戻しなどが必要になります。6月の植え付けは、夏場、夜温の下がる前の夕方に散水し、株を休ませてから行います。生育条件の整った9〜11月に最盛期を迎えるようにします。
よい花を咲かせるには、病球根を除き、育種年数の新しい球根を選ぶのが基本です。
植え付け時、石灰などで土壌改良し、元肥はチッソ、リン酸、カリの三要素を含む有機質のもの(もしくは化成肥料)を使用します。ダリアの根は浅く広く伸びる性質があるため、肥料は前面散布します。長期間にわたって次々と開花しますので、肥料過多でも失敗は少ないでしょう。むしろ、肥料が少ないと貧弱な枝立ちとなり、花の生命を短くします。
また、追肥も必要です。追肥は、東北では気温の低下する8月下旬、関東以西では9月中旬ごろがよいでしょう。そのころ、1番花を咲かせた根は広く浅く伸びているので、ダリアの葉の先端の垂直線下の位置を、鍬や移植ゴテで浅く掘り起こし、2〜3握りの有機質肥料(もしくは化成肥料)を施します。
立派に育てるには、芽かき摘蕾が必要となります。茎が空洞になっているので、放任すると草姿が乱れ、風雨によって倒れて根こそぎ持ち上げられてしまいます。そこで、植え付け時に支柱を立てておき、生育の過程で部分的にヒモで結びます。
草丈を低く枝数を制限することで花首の強いダリアを咲かせ、また風通しをよくすることで病害虫から守ることになります。
鉢での仕立て方は庭植えと同様ですが、草丈が低く草姿のよい品種を選ぶことが大切です。花のサイズによって、7〜9号の鉢を使用し、保水力のよい赤玉土を主体に、乾燥牛ふん、ピートモスを加え、元肥を施します。
植え付け時には、支柱を立て、生育状態を見計らって茎と支柱をヒモで結びます。朝夕の水やりを欠かさないようにし、薄めの液肥を週1回追肥します。花が咲き始めるころには、直射日光と風雨から守ってやりましょう。
ダリアの病気は、アブラムシやスリップス、ハダニなど媒介害虫によるものと、人間が使用するハサミやナイフなど刃物からの伝染が主な原因です。園芸店などでそれぞれの害虫に効果のある薬剤が販売されていますので、係員に相談して買い求めてください。
バイラス(ウィルス)と疑わしい株は早めに抜き捨てる、刃物はバイラス防止剤につけて消毒するなど、手抜きをしないことがよい品種を後世に残していくことにつながります。病気は被害が目立ってからでは遅く、予防に努めることが大切です。そのためには栽培日記をつけることをおすすめします。
ダリアのシーズンは降霜とともに終わりを迎えます。暖地では地表10cmほどで切り取った茎に雨水が入らないようアルミホイルなどでふたをし、20cmほど土をかけて越冬します。また、寒冷地では、霜柱が何度となく続く地方は別として、雪への特別な心配はいりません。天候のよい日を見計らって球根を堀り上げますが、クリスマス寒波の前には作業を終わらせなければ凍結の恐れがあります。
貯蔵のコツは球根の首を折らないようていねいに掘り、圧力をかけた散水で水洗いして土を落とします。その際、茎のつけ根に来年の発芽点(クラウン)がはっきりと確認できます。
分球するには、掘り上げて水洗いした直後が一番容易です。ダリアの球根は乾燥を嫌うため、分球後は天日を避けて風に当てないようにし、5日目ごろには貯蔵に入ります。この際、ダンボールや木箱に球根を入れ、大粒の赤玉土(乾燥した土でもよい)をすき込み、少しふたに隙間を開けた状態で5℃前後の室内に貯蔵します。こうして越冬した球根は、掘り上げ時と変わらない状態で植え付けることができます。
花径区分 | 特 徴 |
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超巨大輪 | 花径が平均30cm以上のもの |
巨大輪 | 花径が平均28cm前後のもの |
大輪 | 花径が平均24cm前後のもの |
中大輪 | 花径が平均21cm前後のもの |
中輪 | 花径が平均17cm前後のもの |
中小輪 | 花径が平均13cm前後のもの |
小輪 | 花径が平均10cm前後のもの |
花径区分 | 特 徴 | |
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ボール | 極大型 | 花径が平均10cm以上のもの |
大型 | 花径が平均10cm前後のもの | |
中型 | 花径が平均7cm前後のもの | |
ポンポン | 小型 | 花径が平均5cm前後のもの |
変わり | 極小輪 | 花径が平均5cm前後のもの |
※花径の分類はあくまで目安としてお考えください。
高 | 120〜150cm |
中高 | 100〜120cm |
中 | 80〜100cm |
中矮 | 70〜80cm |
矮 | 70cm以下 |
※一番花を基準とした丈。気候条件で違いが出ます。
文字通り花全体がボール型をしているのもの。花の径が2インチ(約52ミリ)以上の大型のものをボール咲きと呼んでいます。 |
ボール咲きと同じ球形ですが、こちらは2インチ以下の小型のものを指します。 |
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舟形の長い花弁が幾重にも重なり、豪華な印象を与えます。 |
花弁がねじれ波打ち、先端が外側に反り返っているタイプ。セミカクタス咲きに似ています。 |
幅広で丸みを帯びた花弁が広がった様は女性的な美しさと神秘さをたたえています。 |
カクタス咲きは外側に反り返った細長い花弁が特徴的です、そのうちストレートカクタス咲きは一つひとつの花弁がまっすぐなものを言います。 |
花弁の先が内側に曲がったタイプのカクタス咲きです。 |
ボール咲きと同じ球形ですが、こちらは2インチ以下の小型のものを指します。 |
ストレートカクタス型で花弁の先端が割れ、フリルのようになっているもの。 |
インカーブカクタス型で花弁の先端が割れ、フリルのようになっているもの。 |
セミカクタス型で花弁の先端が割れ、フリルのようになっているもの。 |
一つひとつの花弁が内側に巻いたもの。ヒトデのような個性的な出で立ちに特徴があります。 |
オーキッド咲きが二重になったものです。 |
中心部にある筒状花が発達して、キクの丁字咲きのような形に。まわりの舌状花は通常は一重ですが、二重、三重咲きのものもあります。 |
八重咲きで、幅の広い花弁が大きく波打つ。デコラ咲きと違って花芯が出ています。 |
8つの花弁からなる一重咲きですが、内側に副弁があるのが特徴です。花弁と副弁が互いに違う色、模様で引き立て合う中に華やかさがあります。 |
一重咲きのダリアで、通常は8つの花弁からなっています。シンプルな中に美しさがあり、花壇での栽培に好まれます。 |
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