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第7回「デルフィニウム」

デルフィニウムの魅力は、なんといってもその花色と圧倒的な存在感ではないでしょうか。数ある草花の中でも、豪華さにおいて右に出るものがないほどの見事な花穂を持つ草花です。英国の美しい庭園風景に必ずと言っていいほど登場するこの花は、寒さに強く夏も冷涼な気候を好む「宿根草」で、日本では北海道のような気候を好みます。
デルフィニウムを栽培するのは難しいと思われがちですが、そんなことはありません。確かに宿根草として扱うと場所により夏越しに苦労しますが、難しい夏越しなどせずに、秋植えで初夏に開花する秋まき一年草として栽培すると、日本中どこでも作りやすく、どなたでも簡単に咲かせることができます。今回はデルフィニウムの人気シリーズ“オーロラ”をご紹介します。

春に豪華な花を咲かせるには、育苗段階からしっかりした苗を作り、春までにできるだけ大きな株にしていくことが重要です。株が大きく育っていれば花穂は大きくなりますし、貧弱な株からは貧弱な花穂しか伸びません。

■タネから育てる場合


発芽の様子

発芽適温は15〜20℃で、タネまきの時期は9〜10月です。株を大きくするには、できるだけ早くタネをまきたいところですが、暖地では残暑が厳しいと発芽しなかったり、発芽が揃わなかったりします。できるだけ温度が下がるのを待ってからタネをまき、発芽後は涼しい場所で管理します。温度を下げるために遮光することも考えられますが、日当たりが悪いと苗がひ弱になるので、この辺りがタネから育てるときの難しいところです。10日〜2週間前後で発芽しますが、タネはまく前に冷蔵庫に入れておくと発芽しやすくなります。タネを湿らせたバーミキュライトやピートモスに包んで冷蔵庫の中で早く発芽させる方法もありますが、発芽後に気温が高い状態でしか管理できないと生育不良を起こすことがあるので、無理せず気温が下がってくるのを待つ方がよいでしょう。加湿で立枯病が発生したり、ナメクジの食害にあうことがあるので、発芽した苗は雨ざらしを避けて管理するようにしましょう。

■ピット苗から育てる場合


デルフィニウムのピット苗

販売されているピット苗は、高冷地など涼しい場所で早い時期にタネをまいて育苗した苗で、十分気温も下がり育てやすくなったころに流通します。栽培時期を遅らせることなく育苗できるので、春までに株を大きくできる暖地では便利な育苗方法です。また、まだ株が小さいうちに花芽ができて株の生育に影響が出ることを防ぐ効果も期待できます。

■ポット苗から育てる場合


デルフィニウムのポット苗

ある程度大きくなっているので、生育とともに順次大きなポットに植え替えしながら育苗していきます。基本的にピット苗と同様の管理を行います。極端に根が回っていなければ根鉢は崩さずにそのまま植え替えます。植え替え後は、鉢底から確実に水が流れ出るまでたっぷりと水やりしましょう。

■苗を定植する

本葉が4〜5枚程度になったら、25〜30cm間隔で定植します。あまり株間が狭いと株が充実せず細く短い花穂になる恐れがあるので、余裕をもって定植してください。コンテナでも栽培可能で、直径30cm以上ある丸鉢や65cmプランターなら3株植えが適当です。鉢の深さや容量が大きいものの方が株はよく育ちます。定植時の苗に茎はなく、地面から葉だけが出た状態です。用土は腐植質の多い排水良好なものを用い、ポットの土を崩さないよう丁寧に植えつけてください。

■冬季の管理

最低気温が5〜6℃以下になると生育は暖慢になりますが、この時期は春に備えて地中に根を伸ばし続ける大切な時期です。乾燥は厳禁で、霜や風の強い地方では寒冷紗被覆を行うとよいでしょう。年末から3月ごろまでビニールトンネル被覆をすると、一層確実な生育が期待できます。ただしこの場合、日中は十分な換気を行い、株が軟弱に育たないよう注意が必要です。
追肥は、1000倍程度に薄めた液肥を定植直後に1回、その後は月に1〜2回程度与えます。

■春先の管理

地域によりますが、関東以西の平暖地では2月上旬〜3月になると、新葉が次々と展開してきます。この時期以降は追肥の量を増やしましょう。7〜10日に1回程度の割合で、濃度の低い液肥を与えます。

■開花までの管理

3月下旬ごろには花径が伸び始めます。花穂が伸びて草丈が60〜70cmになったら支柱を立てますが、花径の3分の2程度の高さで十分です。“オーロラ”のようなシネンシス系は根が少なくて弱く、花径も細いのが特徴です。支柱は深く差し込み、ぐらついて根が傷まないように注意します。

■病害虫対策

特に小苗の新芽に食害を与えるナメクジやヨトウムシ、生育後半の葉が盛んに茂り出すころのガやチョウの幼虫による食害、及び開花期間に発生しやすいうどんこ病にも注意します。

■2番花

夏が冷涼な地域では、咲き終わった花径を切り戻せば、地際から新しい芽が出て2カ月あまりで再び2番花を楽しむことができます。一般地でも切り戻せば2番枝が伸びますが、よい花を咲かせるのは難しいでしょう。

ボリューム満点で上品にまとまる“オーロラ”
~“オーロラ”のミニ仕立て~

■ピット苗を密植

ピット苗から始めれば、簡単に栽培できます。確実に本葉まで生長した苗が大量に手に入るので、あとは植え付けるだけで大丈夫です。初心者の方におすすめです。

ディモルフォセカと一緒に

■タネの多粒まき

鉢の中にパラパラと直まきして、発芽後は植え替えやポット上げをせずに、そのまま育苗して花を咲かせる方法です。
花穂の大きさや草丈は、鉢の深さや土の量に比例します。深さ3cmくらいの浅鉢でも育てられます。発芽適温は15〜20℃。高温多湿を嫌うので、温度には注意しましょう。中・上級者向きです。

ペチュニアとの混植
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