園芸TOP >  > 第3回「バラ(ハイブリッドティ)」

第3回「バラ(ハイブリッドティ)」

世界中で愛され続けているバラ。一輪咲いているだけでも華やかな雰囲気になり、見ている私たちをとても優雅な気持ちにしてくれます。これからの季節は、そんなバラを植えつけるのにピッタリの季節。バラを育てるのは難しくて大変と思っている方も多いかもしれませんが、そんなに心配しなくても大丈夫です!適した環境で基本を押さえながら育てていけば、初めての方でも華麗で美しいバラを咲かせることができます。
今回は数ある系統のうち、育てやすい品種が多く花姿がとても美しいことで人気の「ハイブリッドティ(HT)」の育て方をご紹介します。

ピンクオブプリンセス
ピオニー咲き混合

■苗の植え付け

バラの苗には、「新苗」と「大苗」の2種類があります。新苗は1月に接ぎ木をした若い苗のことで、大苗は「2年生苗」とも呼ばれる、接ぎ木した苗を秋まで育てたものです。11月中旬〜2月に出回るのは「大苗」で、半ば成木のため苗自体に力があり、その後の栽培管理が比較的容易なので、初心者でも育てやすいタイプです。

地植え、鉢植えのいずれの場合も、植え付け前には根を手でほぐしながら広げ、自然に落ちる土だけを落とします。そして、植えつける前に1時間ほど水につけておくのがポイント。そうすることで、その後の芽吹きがよくなります。

〜地植え編〜

土づくりは苗木を健康に育てるための大切な作業です。土壌の状態にもよりますが、植え付けの1〜2週間前には準備をしておきましょう。
地植えする場合、深さ・幅ともに30〜40cmほど掘り、肥料や堆肥、軽石などを入れて土づくりを行えば、苗木は十分に育てられます。なお、土壌がかたくて十分に掘れないときは、新しく用土を足して盛り土をし、深さを補う方法がおすすめです。排水のためにゴロ石などを入れてもよいでしょう。
穴を掘り、底土はやや盛り上げます。その上に苗を置き、根を広げます。根の上に堀り上げた土を戻し、土表面をすり鉢型にしておきます。このとき、苗が深植えになっているのはダメで、生育不良になることがあるので注意してください。しっかりと支柱をさして、枝を固定します。
最後に、バケツ2杯分の水を注ぎます。水が完全に引くのを待ち、水鉢を崩し、株元に盛って手で軽く押さえます。その後春まで水やりは必要ありません。

〜鉢植え編〜

購入時に植えられていたポットにより、7~8号鉢を用意します。鉢底ネットを敷き、排水をよくするため鉢底石を入れましょう。元肥を混ぜた用土を中央が盛り上がるように入れます。
次に、根を広げて苗を置き、植え付けます。鉢上から2~3cmはウォータースペースとして残します。根と用土が密着するよう、かたくならない程度に棒や指で軽くつつきます。
その後、鉢に支柱をさして枝を固定します。鉢底から流れ出るまでたっぷりと水を注ぎます。後に、冬季の水やりは表面が乾ききったら1回与えます。

■水やり

鉢植えの場合、土の表面が乾いたら水を与えます。夏季の乾燥期は1日に1~2回、鉢底からしたたるほどたっぷりと与えます。冬季は乾くまで水は必要ありません。
地植えの場合はほとんど水やりの必要はありませんが、夏の乾燥期につき、7~10日間まとまった雨が降らなければ1回与えます。このときは妥協なく土中に浸み込ませるのがポイントです。ただし、高低差のある立体的な花壇は通常より乾燥しやすいので、春と秋は5~7日に1回、夏は2~3日に1回を目安とし、まとまった雨が降らなければ、その周期で与えるようにします。
バラは湿りっぱなしの土壌を好みません。そうした場所では根の張りが悪くなり、病気にもかかりやすくなります。

■施肥

大輪の花をたくさん咲かせるには、膨大なエネルギーが必要です。ハイブリッドティはその典型で、繰り返し花を楽しめるよう、定期的に栄養を補います。
地植えでは冬場の「寒肥」、春の花後の「お礼肥」、夏の剪定後の「追肥」の年3回を基本とし、生育状況に応じて3、7、11月にも軽く補います。
鉢植えで花後2~3カ月に一度、3、6、9月の年3回を基本とし、株が栄養不足ぎみなら液体肥料を合間に施します。
肥料としては、2カ月ほど持続する花用肥料、バラ用肥料が最も簡単です。肥料を施す位置は、地植えでは株元から20〜30cm離れた場所に、鉢植えなら鉢の縁に置きます。

■花がら切り

ハイブリッドティは春以降も、2回目、3回目の花を咲かせるため、花後に「花がら切り」を行います。この系統は、いつも大きな花を咲かせるので、株にかかる負担も大きく、そのまま放置すると花つき、生育ともに悪くなる傾向があります。「そろそろ花も終わりかな?」と感じたら、その都度花がらを切り取って株を回復させましょう。
切り戻す位置は伸びた枝の半分あたり、大きな葉4~5段分を残すのがポイントです。大きな葉を残して切ると、葉が日光を受ける面積が大きいため、光合成の量も多く、充実したよい芽も出やすくなります。この作業を繰り返すことで、バラは春から秋まで何度も咲くようになります。

■中耕・マルチング

マルチングは夏季、または冬季に行います。夏季は「乾燥の防止」「地温高温化の防止」のため、冬季は「乾燥の防止」「凍害の防止」、これらが目的です。手順としては、まず中耕。株元の周りを軽く耕して、その上にマルチング(被覆)を厚め(5〜10cm)に敷きます。

■春先の切り戻し、芽かき

3月に入るとバラの新芽も日ごとに大きくなってきます。この芽の中にはムダな芽もあり、そのまま育ててしまうと、周りの元気な芽の生長を悪くしてしまうことがあります。同じ場所からいくつも出てくる新芽などはまさにそれです。この場合、力強い芽を1つだけ残してかき取り、一点集中させるようにします。これを「芽かき」といいます。
また、枝先部分が何らかの理由で傷んでしまい、芽がうまく伸びていないこともあります。そのままではよい花が咲かなくなるので、健全に伸びる芽の所まで切り戻します。

■夏の整枝と剪定

夏に剪定と整枝を行うのは、秋に美しい花をたくさん咲かせること、樹形を整えることが目的です。夏の剪定は8~9月上旬が適期で、夜温が下がり始める時期に行います。

■冬の剪定

冬に剪定を行う目的は、株を整えること、春5月に大きな花を咲かせることです。冬の剪定は1~2月ごろが適期で、生育が低温で停滞している時期に行います。ハイブリッドティは力強く生育させて、初めて大輪の花が咲くタイプです。しっかりと切り戻して、栄養を集中させることが重要となります。

■タキイのおすすめ品種

〜ピンクオブプリンセス〜
透明感のあるローズピンク色。
非常に花つきがよく丈夫で、初心者にも育てやすい。
〜サイレントラブ〜
花弁が優しく波打つ香りのよいライトピンク色。樹が充実するとスプレー咲きとなり、極多花性。秋の花はやや濃い色になる。
〜グレースクイーン〜
花弁数が多く大輪のロゼット咲き。
ディープローズの落ち着いた花色で、樹が充実すると一枝に複数花が咲き、非常に美しく見応えがある。

新規会員登録

全国のあすたいむ倶楽部