お洒落なカフェやコーヒーショップ、さらにはファーストフードやコンビニまで美味しいコーヒーを提供する時代がやってきた。しかし、本当のコーヒーの魅力を知っている人はどれほどいるだろう。バリスタとして活躍する岡田さんは店舗に立つ傍ら、定期的にセミナーなどを行い、さまざまなコーヒーの愉しみ方を提案しているという。手軽に上質なコーヒーを飲めるようになった今だからこそ、いろいろなコーヒーを味わってほしいと岡田さんは話す。
「日本全体がコーヒーに対する意識が変わってきたので、より美味しいコーヒーを求められる時代になりましたね。ただ、コーヒーというのは趣向性の強い飲み物。美味しい、苦い、酸っぱいなど感じ方は人それぞれで、自分に合うコーヒーが見つかればそればかりを飲んでしまう。それは非常にもったいないことだと思いませんか。コーヒーの世界は本当に奥が深くて同じブラジルで生産された豆でも大きさや価格まで全く異なるものがあります。さらにパプアニューギニア、コスタリカなどたくさんの国の豆を輸入できるようになったので、自分に最適のコーヒーなんてひとつではないし、無限に存在している。皆さんには新しいコーヒーにぜひチャレンジしていただいて、本当に大好きなコーヒーに出会っていただきたいです。また、心地よい空間もコーヒーを愉しむ大切な要素。ご自宅でゆっくり寛ぐのもいいですが、私たちバリスタは空間づくりを演出する役目もあるので、より美味しく感じていただけるように努めています。それが私との会話を楽しんでいただくことだったり、ラテアートのパフォーマンスを見ていただくことだったり、時には距離をおいておひとりの時間を過ごしていただくことだったり…。コーヒーの美味しさはもちろんですが、+αを感じていただくことで、私たちの存在意義があるのだと考えています」。
小川珈琲 京都三条店では毎週金曜日に岡田さんがカウンターに立つ。そこはまさにコーヒーのライブ。彼の動き一つひとつが美しく、カウンター席目的で訪れるお客も少なくない。
「キッチンで作るコーヒーと私がお客様の目の前で作るコーヒーは同じ味ではいけません。私のサービスがプラスされてコーヒーの味になりますから。バリスタは技術を磨く職人的な部分もありますが、お客様を喜ばせるサービス的な部分も大切です。両方の気質を兼備えなければ務まらない難しい職業ですが、それが魅力でもありますね」。
祖母が喫茶店を経営し、母親もその手伝いをしていたことから、小さい頃からコーヒーが好きだったという岡田さん。バリスタになり、毎日コーヒーと向き合う今でも衝撃的な発見がたくさんあるという。
「コーヒーは栄養ドリンクのように元気が出るわけでもなく、お酒のように開放的な気分になれるわけでもない。では何を目的にコーヒーを飲むのか…それは“リラックス”“気分転換”だと思います。コーヒーの香りや味を愉しむことで、少しいい気分になったり、感じていたストレスが軽くなったり。そんな効果がコーヒーにはあるのかなと。そのコーヒー時間をさらに幸せなものにするお手伝いをしたいです」。
確かにコーヒーから漂う香り、ほろ苦い味わいが体の緊張を解いてくれるのかもしれない。コーヒーと向き合い、ただ味わう。時にはそんな時間を作ってみてはいかがだろうか。
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