1日摂取量の基準:目安量 成人男性 :2000㎎ 成人女性 :1600㎎
生活習慣病予防の観点から見た望ましい摂取量 成人男女 :3500㎎
人間の体内では、細胞内にカリウム、細胞外にはナトリウムが多く含まれていて、ナトリウムポンプと言われる調節機能によって、細胞外からカリウムを取り込むと同時に、余分なナトリウムを細胞外へと排出して、一定の濃度を保っています。ナトリウムの摂り過ぎやカリウムの摂取不足により、このバランスが大きく崩れると、高血圧となります。カリウムは、このバランスを保つのに必要なのです。また、腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して体外への排出を促したり、末梢神経を拡張したりすることによっても、血圧を下げるよう働きます。
カリウムは主に細胞内液(細胞の内側の液)に存在し、細胞の浸透圧を保ち、正常な体液バランス(水分バランスやpH)を維持しています。また、ナトリウムとともに神経系の刺激伝達や、筋肉の収縮にも関与しています。腸の筋肉の収縮に関わることにより、腸筋力低下が原因で起こっている便秘の解消へも働きかけます。さらに老廃物の腎臓での排泄を促します。
摂取不足や慢性の嘔吐下痢、その他何らかの異常によって、細胞外のカリウム濃度が一定以下の濃度になると、低カリウム血症となり、脱力感・筋力低下などの症状を引き起こします。いわゆる夏バテも、発汗によりカリウムが失われることが原因のひとつになります。ひどい場合にはけいれんを起こしたり場合によっては筋肉の麻痺を生じます。心疾患がある場合には不整脈を起こします。一方、腎臓に障害があったり、ある種の薬の使用によっては、高カリウム血症となります。軽度ではそれほど症状は表れませんが、重度の場合は不整脈や心停止を引き起こします。
カリウムは、バナナやメロンなどの果物類、さつまいもなどのイモ類、ほうれん草をはじめとする野菜類、大豆・納豆などの豆類に多く含まれます。自然の食品にまんべんなく含まれるミネラルですので、いろいろな食材を摂るようにしましょう。
摂り過ぎたナトリウム(塩分)を尿中へ排出する際、カリウムも一緒に排出されてしまいます。そこで、十分なカリウムを摂るためにはナトリウムの摂り過ぎに注意することが必要となります。また調理による損失が大きく、煮物の場合およそ30%が失われるとされています。この場合、煮汁を一緒に摂ることで効率よくカリウムを摂取することができます。コーヒーやアルコールの多飲も、カリウムを減少させる要因となりますので、注意しましょう。腎機能が低下している人ではカリウムの摂取制限がある場合がありますので、専門家にご相談下さい。