1日摂取量の基準:カプサイシンの摂取量の基準はありません。
カプサイシンは、唐辛子の刺激的な辛味の成分で、辛味成分としてはもっとも辛いことから、辛味の指標であるスコービル値の基準物質となっています。物性は非揮発性で、油に溶ける性質があります。カプサイシンが注目されたのは、中枢神経を刺激して、アドレナリンの分泌を促し、脂肪分解酵素のリパーゼを活性化し、エネルギー代謝を活発にする働きがあることが報告されたからです。
カプサイシンは、舌や胃を刺激して食欲増進に効果があると言われ、夏場に好まれて利用されてきました。最近では、エネルギー代謝を促進する働きから体脂肪の燃焼が促され、汗をかくほど体が熱くなることから、肥満の予防の効果も期待されています。また、毛細血管を収縮させ、心臓の働きを活発にしますが、血圧の上昇は少ないと言われています。この他の働きとしては、殺菌作用や抗酸化作用から老化防止の効果も期待されます。
唐辛子は手に入りやすい食材ですが、カプサイシンは刺激的な辛さを持つことから、一度に大量にとり過ぎると胃の粘膜を荒らすと言われていますので、無理をして大量に摂取することは避ける方がいいでしょう。この他に目の充血しやすい人、痔疾患のある人、アトピー性皮膚炎の人などは、症状を悪化させることがありますので、摂取する際に注意が必要です。
唐辛子の辛味成分なので、主な食品は唐辛子です。唐辛子の中の果肉や種に含まれますが、最も多く含まれるのは、胎座という種子に栄養を与える隔壁部分だとの報告があります。品種によっても含有量が異なりますが、辛さの程度が含有量と比例します。日本では、鷹の爪に多く含まれます。
カプサイシンの物性を利用して作られた調味料がラー油やタバスコです。上手に使うことで、食欲を増進させたり、味のアクセントになって食卓を豊かにします。また、辛味を上手に利用すると塩を控えても料理がおいしく頂けること、カプサイシンは血圧の上昇は少ないということで、適量の利用は高血圧の人の減塩調理に役に立ちます。辛味の苦手な人は、種やその周りを取り除くことで辛さが軽減されます。