園芸TOP >  > 第10回「シュンギクづくりのワンポイント」

第10回「シュンギクづくりのワンポイント」

■シュンギクの種類


きわめ中葉

 シュンギクは地方によって好まれる葉の形(欠刻と呼ばれる葉の切れ込み)が違い、一般に関東では欠刻の多い品種、関西から西に向かうにつれ、中葉から中大葉、大葉が好まれています。 また関東や東北では節間が伸長しやすく主茎・分枝を継続的に摘みとっていく“摘みとり栽培”が多くなり、関西では根付き出荷が多いため側枝の分枝が多く、根元から株が張る“株張り型”の栽培が多くなります。特に九州では「おたふく」と呼ばれる葉が大型で、葉縁の欠刻が浅くて少ない葉形のものが主流です。葉色は鮮緑で、葉肉が厚くてやわらかく苦みが少ないのが特長で、鍋物だけではなくサラダとして生でもおいしく食べられます。

■栽培におすすめのシュンギクの品種


菊次郎


菊之助

 家庭菜園でおすすめの品種は、耐寒性にすぐれ、葉はやわらかくて香りが高い摘み取りタイプの「きわめ中葉」、葉は濃緑で、分枝性が強く株張り中葉タイプの「菊次郎」、肉厚でジューシー、葉の切れ込みが少ない鮮緑の大葉タイプの「菊之助」になります。

■シュンギク栽培のワンポイント

 シュンギクは、もともと発芽率の低い野菜で、たくさんタネを播くことで発芽の悪い分を補ってきました。タネ自体が硬い皮に覆われているため、水分が少ないとスムーズに発芽することができません。発芽後も乾燥に弱いので、特に播種から生育初期まで水を切らさないよう土の湿度を保つようにしましょう。また発芽の際、光によって発芽が促進される「好光性種子」のため、タネが隠れるくらい薄く土をかぶせるようにします。
 シュンギクを収穫する際、株張り型では、分枝が多いものを草丈20cm程度で収穫します。途中、間引きした株もおひたしなどに利用できます。
 摘みとり型では、主枝の草丈が25cm以上になれば、4節(本葉4枚)を残して主枝を摘芯・収穫します。主枝の摘芯位置が高すぎると、1次分枝の発生が多くなり、茎が細くなって徒長気味となります。最初に収穫した1次分枝以降は、20〜25cm程度になったら、2葉を残し各枝2本ずつの分枝を発生させ順次摘みとります。収穫するたびに軽く一握り程度、化成肥料を追肥してあげるとよいでしょう。
 栽培全般を通して乾燥に弱く収穫直前に水分が不足すると、葉がごわごわして苦味やえぐ味が強くなります。また乾燥すると水と同時に吸収される石灰の不足により、芯腐れ(芯が枯れてしまう)が発生しやすいので注意が必要です。シュンギクは土が乾かないように水やりを欠かさないようにしましょう。

(タキイ種苗 広報出版部 奥本和夫)

シュンギクの摘みとり種の収穫伸びている側枝を一度にすべて摘むと根が傷んで生育が衰えたり、伸びる側枝の数が多くなりすぎたりするので、常に2本くらいは摘まずに残しておきます。

園芸TOP >  > 第10回「シュンギクづくりのワンポイント」
新規会員登録

全国のあすたいむ倶楽部