コマツナは江戸時代、小松川村(現在の東京都江戸川区)に順化したツケナ(葉物野菜)の一種で、当時からやわらかく味のよいものとして評判でした。カブの祖先に色々な種類がかけあわせてできたと考えられており比較的、根が太いのはそのためです。地域によって冬に収穫する甘いコマツナを冬菜、雑煮菜、春のやわらかくあざやかなグリーンのものをうぐいす菜と呼ぶ所があります。関東地方、特に東京近郊で市場出荷用に栽培されていましたが、近年栄養価や栽培性が高く評価され、広く全国に普及しています。
コマツナは栽培適応性が広く、ほぼ周年どこでも栽培することができます。プランターでも早ければ1カ月ほどで収穫することができ、初心者でも作りやすい野菜です。
アクが少なく何にでも合わせられることができ、おひたしやあえ物、煮びたし、みそ汁の具、炒めものなど料理しやすくて和洋、中華など幅広く利用することができ野菜の万能選手といえるでしょう。
楽天
家庭菜園でおすすめの品種は、家庭菜園の定番で食味がよく作りやすい「楽天」、夏場でも生育がじっくりしており葉軸が太くがっちりと生育する「菜々美」、周年栽培でき歯切れがよく、すっきりとした食味でおいしい「夏楽天」になります。
コマツナの栽培期間は夏場が20日、春や秋は、30〜40日と生育が早いのが特長です。草丈が25cmぐらいになれば収穫適期ですが、30cm以上になると葉の軸が固くなるため、早めに収穫するようにします。1回にたくさんまかず、10日〜2週間ぐらい間隔をおいて段まきをするようにするといつも新鮮なコマツナが楽しめます。また収穫の5日くらい前から水を控えて株の水分を絞ると、味が引き締まり葉軸のシャキシャキした食感が増します。
間引きの1回目は、発芽して子葉が展開してきた時に2cmぐらいの間隔で行い、2回目は本葉が2〜3枚時に5cmぐらいの間隔で行います。その際に、株元に土を寄せ倒伏しないようにしてあげるとよいでしょう。間引きしたものも、サラダや汁の実に使えますので捨てずに利用しましょう。
アオムシやコナガの幼虫がつきやすく食害されやすいので、播種直後から「防虫ネット」を利用するようにしましょう。トンネル支柱などを利用して、防虫ネットを生育期間中覆っておきます。その際気を付けることは、横から害虫が入らないよう防虫ネットの裾をしっかりと土で被せるようにします。
(タキイ種苗 広報出版部 奥本和夫)
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