ソラマメは莢を天に向けて生育するので「空豆」、または蚕が作るまゆに形が似ていることから「蚕豆」と漢字で書きます。マメを塩ゆでにしたり、莢ごと焼いて中のマメを食べたりしますが、タンパク質や炭水化物が豊富でビールのお供に最高です。関東では初夏の風物詩としてよく食べられており、香川県では郷土料理としてソラマメを使った「醤油豆」が地元ではおみやげとしてよく売られています。
エンドウとともに古代から利用されており、日本には江戸時代に導入されました。現在の堺市(河内)でソラマメの改良が進み、その代表的な「河内一寸」から色々な品種が育成されました。その堺市にある日本最大の仁徳天皇陵にちなみ「仁徳一寸」や、その西で育成されたことから「陵西一寸」などの品種が生まれました。
福ならび
家庭菜園でおすすめの品種は、名前の通り3粒莢率が高く、大莢がたくさんとれる「三連」作りやすく、濃緑の大粒で3粒莢が多く「仁徳一寸」、莢をむいたマメを生食でき、サラダや粉チーズをまぶして食べるとおいしい「福ならび」があります。
タネをまく時期は10月下旬から11月上旬になります。播種する際“おはぐろ”の部分(種の側面にある黒い所)を斜め下に向けて土に押し込むようにします。温度が低く水分が多いと発芽が遅れ、腐敗しやすくなるので9cmポリ鉢などにまいて育苗すると発芽がうまくいきます。
11月中に定植し、本葉7〜8枚ぐらいの幼苗で越冬させるようにします。年内に生育が進みすぎると寒害を受けて枯れてしまう恐れがあるので、トンネル支柱に寒冷紗や不織布で覆い寒さを防ぐようにしましょう。その際、風に飛ばされないようにしっかり押さえてください。分枝がはじまる2月中旬ごろにはトンネルを外すようにします。
春先よりソラマメは、株元から分枝がたくさん出てきます。分枝が多いと養分が分散して莢つきや豆の肥大が悪くなりますので太い枝を7、8本残してあとは早く摘み取ってしまいます。莢は日光に当たるほど生育がよくなりますが、枝が多いと日当たりが悪くなり十分に莢が大きくなりません。
ソラマメはアブラムシがつきやすく、こまめにチェックして大発生を防ぎます。胸ぐらいの高さになれば、上の枝には莢がつかないため10〜20cmほど先端の葉茎を切り取っても大丈夫です。倒伏の防止と新芽につきやすいアブラムシをつきにくくする効果があります。
(タキイ種苗 広報出版部 奥本和夫)
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