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第15回「ナガイモづくりのワンポイント」

■ナガイモの種類


長芋

 日本原産の山の芋、自然薯と呼ばれているものと、中国が原産地で平安時代には栽培されていたと考えられるナガイモ、イチョウイモ、ツクネイモのグループは植物学上では別種になります。ナガイモは全国で作られますが、イチョウイモは関東から東海の火山灰土土壌に、ツクネイモは関西を中心に粘土質土壌で主に作られています。
 ナガイモは長形型、イチョウイモは偏平型、ツクネイモは塊形型をしており、粘りは(1)ツクネイモ(2)イチョウイモ(3)ナガイモの順で強く、デンプン含有量はイチョウイモ、ツクネイモがナガイモの2倍程度多くなっています。
 この中でもナガイモは生でも食味、食感にすぐれており、生食できることが大きな特長です。主成分はデンプンですが、良質のタンパク質やミネラルが比較的多く含まれており、デンプンの消化を助けるジャスターゼも多く含むので疲労回復や体力増強に役立つ作物です。

■栽培におすすめのナガイモの品種


ねばり芋


長芋/料理

 家庭菜園でおすすめの品種は、一般に多く栽培されている「長芋」、長さ50〜60cm程度の短形種で、きめが細かくて強い粘りがあり甘みのある「ねばり芋」になります。
 ナガイモは病害虫の被害も少なく、栽培期間は春から晩秋と長いですが、つるをネットに這わせておけば整枝の手間もかからず収穫できます。また土の中に埋めておけば翌春まで貯蔵できるので家庭菜園向けの作物といえるでしょう。

■ナガイモ栽培のワンポイント

 ナガイモは日当たりがよくて、肥沃で耕土が深く、排水のよい膨軟な畑が向きます。地中深く肥大根が伸びるので耕土は100cmくらい必要ですが、「クレバーパイプ」というナガイモ用の栽培資材を使うと、耕土が浅い所でも比較的簡単に栽培することができます。
 平均気温が13〜14℃になったころ、平地では5月中旬ごろ植え付けます。ナガイモは無病のものを使い、ムカゴを1年育てた「子イモ」か、肥大したイモを100〜150gに切り分けた「切りイモ」を定植します。深さは3〜5cmで、深植えすると萌芽の遅れや不揃い、種イモの腐敗につながるので注意します。芽が数本でている場合は、生育のよい芽を1本残し残りは芽かきを行います。
 ツルが伸びてきたら葉の光合成能力を高めるため、支柱を立ててナガイモネットやキュウリネットを利用して茎葉が重ならないよう誘引します。
 茎葉が大きく広がる7月上旬、7月下旬、8月中旬の3回追肥を行います。土壌の乾燥はイモの形状や肥大に影響するので、梅雨明けからはうねの上に敷きワラをして、定期的に水やりをするようにしましょう。
 11月上中旬には茎葉が枯れ上るので、この時期から収穫を始めます。土壌が凍結しない所であれば、土の中で保存できるので3月まで順次収穫できます。

(タキイ種苗 広報出版部 奥本和夫)

①クレバーパイプを利用した種イモの植え付け催芽した芽を案内棒の横の位置に置き、5〜6cm覆土する②クレバーパイプによるナガイモ栽培

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